不戦の誓い


8月15日の敗戦日を前にして、平和や日本の安全保障について考える機会が増えてきました。私は、あらためて「不戦の誓い」が必要だと感じています。戦争を知らない世代だからこそ、想像力をたくましくして、今の平和を守るための取り組みをし続けなくてはなりません。


最近読んだ本の中で、是非皆様に紹介したい本があります。

日本の「戦争力」

日本の「戦争力」

小川和久さんは、軍事専門家です。テレビにも頻繁に出ておられるので、ご存じの方も多いでしょう。私も、はじめは、タイトルだけ見て、「嫌やなあ、好戦的な本なんちゃうか」と思っていたのですが、全く違いました。


一言で言うと、軍事についての基礎知識を事実の積み上げによって読者に分かりやすく伝え、安全保障の議論のベースを提供する本でした。私は、日本の安全保障の議論を聞くとき、イデオロギー的な「右」「左」の議論ばかりで、議論のベースとなる軍事的な基礎知識の共有がなく、冷静な議論ができていないなぁ、と思っていました。


この本には重要なことがたくさん書かれています。その中でも、特に知っていただきたいことは、「パワー・プロジェクション能力」(戦力投射能力)という概念です。

定義は、「多数の戦略的核兵器により、敵国を壊滅させることのできる能力」、

非核政策の場合も、「数十万規模の陸軍を海を越えて上陸させ、敵国の主要部分を占領し戦争目的を達成できるような構造を備えた陸海空の戦力」というものです。(同書p.53)

この「戦力投射能力」がなければ、戦争を仕掛けることはできません。例えば、朝鮮半島を攻めるとすれば、50万〜100万の陸軍を上陸させ、敵軍と戦って勝利しなければ戦争目的は達成できないということです。当然のことながら、こういう能力を日本の自衛隊は持っていません。


日本は、「海外で戦えるけれども専守防衛に徹している」のではなく、「海外で戦う能力はなく、専守防衛以上のことはできない」のが現実。しかし、近隣諸国には、戦力投射能力を持っていないこと、また、持つ意思が全くないことについて伝えないので、いつまでも誤解されたままです。


本来ならば、日本は国際社会の中で、日本国憲法の掲げる「平和主義」を実現させて行く力を持っているはずです。しかし、戦後61年経っても、積極的に対外的にアピールする外交姿勢はありません。この状況を正すためにも、もっと冷静な議論を国内で積み重ねていく必要があると感じます。