中村てつじ「日本再構築」ブログ

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森林組合研修視察


昨日(2008年6月17日)と今日の2日間、全国森林組合連合会(全森連)が主催する全国の森林組合の職員を対象とする研修に参加して参りました。
http://www.zenmori.org/

森林間伐促進法が成立したこともあり、現在年間35万ヘクタール(100m×100m)の間伐面積を20万ヘクタール増やして55万ヘクタールにすることが国策となっています。これを実現できなければ、京都議定書のマイナス6%のうち、3.8%を森林吸収源でまかなうという目標は達成できません。


しかし、その間伐を推進するにも、林業の不振でなかなか進まないという現場の現実があります。そこで、全森連が先進的な森林組合の取り組みを全国に広げていこうと研修を企画し、京都府の日吉町森林組合がノウハウを全面公開して研修を引き受けているということなのです。


私も、奈良県林業を考えるときに、森林組合の経営のあり方については知っておく必要があると考えていましたので、全森連に頼んで4日間の研修のうちはじめの2日間に参加させていただいたのでした。


研修の内容は、「提案型集約化施業」(ていあんがたしゅうやくかせぎょう)というものでした。

森林組合という組織は、森林の所有者を組合員とし、組合員から委託されて山の管理を行なうという組織(事業協同組合)です。ただ、木材の価格が低下していたため、従来は、公共事業に依存するような事業体となっていました。しかし、その結果、間伐がなされない山が増え、日本の山が荒れ始めました。今、日本の山は深刻な状態にあります。

戦後集中的に植栽をした森林は、今、伐採期を迎えはじめています。そこで、商品になる間伐材をできるだけローコストで搬出し、かつ、長期育成の木を残すという手入れが必要になっているのです。


日吉町森林組合は、全国に先駆けて、組合員の森林所有者に対して「提案」を行ない、小規模に分かれている林地を「集約化」して、間伐を行なうという「提案型集約化施業」を行なった森林組合でした。

理事でもある湯浅参事によると、「うちは、そんなに特別なことをやっているわけではありません。ただ、普通のことをやっているだけです」と謙遜されているのですが、その当たり前のことさえ、日本の林業ではなされていなかったということなのでしょう。

日吉町では、間伐を集約化して行なうため、所有者一人一人に見積書を発行し、間伐することで間伐材の販売や補助金等を得て、人件費などの経費を差し引いてもどれだけ所有者に返ってくるのかということをお知らせして、所有者と委託契約を結んでいます。その結果、まとめて間伐をすることができるのです。


この施業については、いくつかのポイントがあるのですが、印象に残っているのは、
1.作業道の作り方
2.高性能林業機械の遅れ
3.進まない所有と経営の分離
でした。


1.作業道の作り方

日吉町では、高密度に作業道を森林に施設するという方法により、木材の搬出コストを抑えるというシステムを構築しています。

しかし、山に林道を施設するということはなかなか難しい。経験を積んではじめてできるというものであるということも分かりました。

ただ、おかしな話は、いわゆる「スーパー林道」は、林業家にはほとんど使われていないということ。

農業でも同じことが言えますが、林業では、予算が林業家にまわらず、農水官僚の天下り先にまわるという構造ができあがっています。例えば、スーパー林道を作る予算を森林内の作業道を作る補助金に回せば、もっと間伐は促進することになると言えます。

2.高性能林業機械の遅れ

一番印象的だったのは、先進国であり、かつ、森林国であるはずの日本において、高性能の林業機械が作られていないということでした。ヨーロッパでは、林業専用機械が開発されていて、効率的に森林の管理ができるようになっています。

日本に入っている機械は、ユンボの先に林業用のヘッドを着けるというようなものばかりで、湯浅参事によれば「トラクターで通勤するようなもの」という状況になっています。

同じ先進国で人件費も高いドイツから日本が木材を輸入してもペイするということは、いかに日本の林業が効率化されていないかということのあかしでもあります。

ただ、需要のないところには企業は参入しません。日本の遅れた森林管理の状態では、日本仕様の林業機械をヨーロッパのメーカーは開発しようとせず、日本の一流機械メーカーも参入しようとしていないというのが現状です。

市場を拡大する意味でも、まず国有林事業からでも、ヨーロッパ型の高性能林業機械を導入することを考えた方がいいのではないかと思うのですが、このような検討もされていないようです。国有林事業を請け負っている民間業者の方から話をうかがったのですが、一応、みんな林業機械を持っているが、市場も小さいので、小さなメーカーが開発している機械が3ヶ月待ちという状態だそうです。

湯浅参事に聞くと、トヨタなどの一流機械メーカーは、すでにヨーロッパには遅れてしまっているので、販路としてアジアやブラジルなどに売れるのかどうかを見極めないと参入しないという話でした。


3.すすまない所有と経営の分離

日本は、間伐面積を増やさないと国際約束を守れないのだから、国策として間伐をしない所有者に対しての対策をする必要があるはずです。

しかし、現在の日本の制度では、間伐をしようがしまいが所有者にとってはどちらでもいいような制度になってしまっています。

今は、森林の評価額は、国税相続税の評価に任されています。しかし、間伐をしているかどうかで、山の価値は違います。私は、林野庁に間伐をするのかしないのかによって、現在の森林の評価額が変わるという(実際に即した)評価基準を作るべきという主張をしています。森林の専門家である林野庁が、評価基準を作らないのはおかしい。

そして、きちんとした森林の評価基準ができれば、次に新しい政策も考えられます。例えば、間伐をしなければ評価額がさがり、かつ、何年も間伐をしていない(例えば、土地の悪意占有の時効取得が20年、善意占有の時効取得が10年ということを考えると、10年が一つの目途か)森林については、強制的に下がった評価額で、共同林地所有株式会社に現物出資させるというような制度も作ることができます。

こうすると、所有と経営が分離され、森林組合も、一人一人の所有者にいちいち確認しなくても、共同林地所有株式会社の了解をとれば、間伐の作業に入れることになります。

このような検討も、林野庁ではなされていないようです。


以上、簡単に研修を体験した感想を書きました。日本の林業再生は、民主党が主張してきた「緑のダム構想」からも必要な課題だと認識しています。「やりっぱなしの民主党」と言われないためにも、解決するまでこの問題にも引き続いて取り組んで参ります。


参議院議員 中村てつじ
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