史上最大の決戦は小池総理誕生で始まる


一.小沢代表再選と衆議院選挙

本日(2008年9月8日)、民主党代表選挙の立候補届け出がなされ、小沢代表が無投票で3選を決めました。これで、次期衆議院選挙の野党代表が確定しました。


方や自民党は、小沢代表の無投票3選を見越して、先週月曜日(9月1日)に福田康夫総理大臣が辞任の会見を行ない、9月10日告示・9月22日投票の日程で、次期総理を決める自民党総裁選挙を行なうことを決めました。

私は、小池百合子(こいけ・ゆりこ)氏が自民党新総裁に選ばれ、臨時国会冒頭に組閣・衆議院解散となり、総選挙が行なわれると予想しています。


そして、政権交代をかけた戦後史上最大の決戦になる衆議院選挙が始まります。


当初、私は、次期衆議院選挙は、当初今年の1月になるだろうと予想をしていました。

なぜならば、それ以降になると、ガソリン税暫定税率の問題、年金記録問題で、政府が追い詰められることが見えていたからです。(4月以降の後期高齢者医療制度の問題は、私自身は事前にここまで大きく問題になると予測できていませんでしたが、医療制度の抜本改革を唱える民主党にとっては、強い追い風になりました。)

しかし、昨年12月に守屋武昌元防衛事務次官が逮捕され、さらには、「宙に浮いた5000万件」の消えた年金問題も解決しないことがはっきりし、内閣支持率は不支持と支持が入れ替わり、解散総選挙をしたくてもできない状況が整ってしまいました。


次に私が解散の時期を予想していたのは、臨時国会冒頭、それも小沢一郎代表が無投票3選を決めた時に、福田総理が辞任をし、新総裁選挙を行ない、新総理の下で、内閣支持率が高いうちに総選挙を行なうというシナリオでした。

ただ、あまりにも「劇場的」なシナリオのため、ほとんど賛同者はおらず、「そんなこと言って」と言われていましたが、その通りになってきました。

なぜか。それは、それ以外に自民党にとって、選択肢がないからです。


参議院ODA調査から帰ってきた先月27日、私は団長として江田五月(えだ・さつき)議長に報告をしました。江田議長も、当時私が主張していたように「今、私は冒頭解散説を唱えているんだ。」とおっしゃっていました。その時期でなければ福田総理は自分で解散権を行使できない、それ以降になると福田降ろしがはじまるというのが、江田議長の分析でした。


二.なぜこの時期か?


まず、時期については、よく考えればこの時期しかないのです。


1.経済

昨日、アメリカ政府が政府系金融会社(フレディマックファニーメイ)に公的資金を投入することを決めました。

今まで、アメリカ政府は金融機関に対する公的資金の投入には、慎重でした。しかし、金融的な資産デフレによる不況を予見すると、もう今公的資金を投入しなければ、日本のバブル崩壊時よりもひどいことになることが明確になります。

裏を返せば、それだけサブプライムローン問題は、根が深い。私が懇意にしている国際経済学者は、「まだサブプライムローン問題は、3合目にかかったところ」と表現しています。まだまだアメリカ経済は悪くなると見た方がいいでしょう。

また、それゆえに、アメリカにものを買ってもらって急成長してきた中国も、北京オリンピックが終わって、経済が減速局面に入ることになります。

そうすると、アメリカと中国にものを買ってもらって何とか経済を維持してきた、外需頼みの日本経済も当然減速する。それも、これから長期にわたることが予想される。


経済の減速がこれだけハッキリ見えているのだから、一刻も早く選挙を行なわなくてはなりません。


2.給油新法

アメリカ大統領選挙が11月4日に行なわれます。臨時国会をキチンと開いた場合には、「同盟国」の日本としては、是が非でも給油新法の再延長を行なわなくてはなりません。オバマが新大統領に選ばれれば、イラクからの撤退の分、アフガニスタンへの関与が強まると考えられるので、より強い要請になる。

そうすると、選択の余地なく、給油新法は3分の2の力を使って衆議院で再議決する必要が出てきます。

しかし、それは、「平和の党」公明党が、選挙前(衆議院選挙と都議会議員選挙の前)には許さない。

また、「ペシャワールの会」は、昨年の給油新法には反対していました。そして、危惧していたことが起きました。審議の過程で、給油という方法が本当にアフガニスタンの復興支援に最適な方法なのか、国民の皆様にはより強く疑問に思われる可能性が高い。

だから、臨時国会で給油新法を議論する前に、衆議院解散する必要がある。


3.矢野絢也(元公明党代表)の参考人招致

今年の通常国会で、矢野絢也(やの・じゅんや)・元公明党委員長が国会の議員会館会議室で、いかに公明党創価学会から圧力を受けていたかということを証言なさいました。

当然、次の臨時国会では、矢野氏の参考人招致、さらには証人喚問が論議されることになります。そうすると、公明党としては臨時国会での実質的審議の前に衆議院の総選挙をやってもらいたい。

自民党も、公明党創価学会の力なくして、衆議院小選挙区では勝てないので、公明党の希望を尊重せざるをえません。


4.年金記録問題の未解決

安倍前総理が公約した年金記録問題の解決は、今年3月末どころか、いつ終わるのか分からない様相を呈して参りました。

特に、「宙に浮いた5000万件」だけでなく、「消された年金」の問題が新たに発覚しました。

私も4月1日に参議院厚生労働委員会で質問した問題です。勝手に年金記録(厚生年金の標準報酬月額)が書き換えられて、勝手に年金額が減らされていたという事実が次々と明らかになっています。(厚生年金の標準報酬月額改ざん)

これでは、年金記録問題は、収束に向かうどころか、来年に向けてさらに拡大していくと予想されます。そうすると、年金記録問題も、早く総選挙を行なわなくてはならないという要素になります。


5.民主党小沢一郎代表の無投票3選

私は、今の民主党は、小沢代表の下で一致団結して選挙を戦わないと勝てるものも勝てないと確信しているので、今日、小沢代表の無投票3選が決まったことは良かったと思っています。

しかし、このことを与党がどのように使うのかということになると、「古い民主党のリーダーvs新しい自民党のリーダー」という構図に持っていきたくなるのは当然です。

だから、この時期に自民党の新総裁選挙なのです。



三.それではなぜ「小池総理」?

それでは、なぜ「小池総理」なのでしょうか。それは、「小池総理」になることが、一番世論の大きな動き(サプライズ)を得られる可能性が高いからです。

言い換えれば、民主党が一番嫌なことをやってくるのが、自民党です。

政治家としての質については、天と地ほどの差があったとしても、私たち民主党のリーダーである小沢一郎代表と一番対照的なのが、小池百合子(こいけ・ゆりこ)氏です。


「日本初の女性総理」ということになると、マスコミでの露出も増え、組閣時点での支持率も高くなるでしょう。「麻生有利」と評されている現状を「乗り越えた」と評価されるようになるでしょうから、爆発的な人気を得る可能性もあります。

それを今回相手として戦った麻生・与謝野・石原が支える形になる。

これで、自民党としては選挙態勢は整います。


もちろん、このシナリオ通りにはならないかも知れません。しかし、私にとって、このようなメディア戦略と結果は「最悪」なので、このシナリオ通りにならないことを祈っていますが、論理的に考えを詰めていくと、このような結論になるということです。



四.民主党の戦略は?

それでは、民主党としては、どのような戦略をとる必要があるのでしょうか。

これについては、特効薬はないと思います。むしろ、政権側がメディア操作をする力を持っている分だけ、「政局よりも政策」で地道に対立軸を明らかにするしかない。


今日も私は、上京する新幹線の中でこの原稿を書いています。(以上の予想から、衆議院選挙の準備を急ぎ、地元に集中しているので、なかなかこのようなブログの原稿を書けないでいました。)

それは、年金記録問題の「標準報酬月額改ざん」問題について、明日の民主党の会議で扱うため、夕方に党の厚生労働部門役員会があるからです。


このような具体的な問題を通して、政府のやってきたことの誤りを示し、それを「変える」ことをメッセージとして世の中に伝える。

民主党がやるべきことは、このような具体的な取り組みしかないのではないでしょうか。まさに、王道を歩むべきだと。


3年前の衆議院選挙では、争点設定(イシューセッティング)を誤り、民主党は大敗しました。次期衆議院選挙では、私は、年金と医療が争点になると思っていますが、投票日までの約2ヶ月で変わるかも知れません。

精一杯、知力を尽くして、分かりやすい争点を作って参ります。



参議院議員 中村てつじ
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