厚生年金 標準報酬月額改ざん 明らかに


政府は、本日(2008年9月9日)の「年金記録問題に関する関係閣僚会議」で初めて、社会保険庁が関与して厚生年金の標準報酬月額が改ざんされていたと認めました。

今日、その「年金記録問題に関する関係閣僚会議」が開催されることに合わせて、民主党年金問題会議が、10時〜12時・16時30分〜19時10分と、2回に分け、かつ長時間開かれました。


今日の会議であらためて明らかになったのは、社会保険庁の隠蔽体質でした。


今日の会議では、厚生年金の標準報酬月額改ざんについて、当事者が実名を出して証言をなさいました。自分に不利益が及ぶかも知れないのに。


記録改ざんの被害者として、齋藤春美(さいとう・はるみ)さん。
記録改ざんの証言者として、尾崎孝雄(おざき・たかお)さん(元社会保険事務所職員)と、相馬稔(そうま・みのる)さん(事業主)。


特に、元社会保険事務所職員の尾崎さんは、自分たちが組織的に行なってきたことを内部通報し、元職員として不利益が及ぶかも知れないのに、勇気を出して国民の権利を回復されるために証言をなさいました。

私たち民主党の議員は、このような内部通報者を守るために全力をあげると心に誓いました。


一方、肝心の舛添大臣は、「まあ、あの方も共同正犯です、犯罪行為の共同正犯ですから、共同正犯をなさったということを自らおっしゃるなら私は然るべき対応をとりたいと思っております。」と閣議後の記者会見でおっしゃり、尾崎さんを「犯罪行為の共同正犯」者となさいました。


私は、このことがどうしても許せません。

民主党の各議員が集めた情報を総合すると、全国の社会保険事務所において、社会保険料を滞納する事業所に対して、社会保険事務所の職員が積極的に関与して、従業員の給与記録(標準報酬月額)を書き換え、滞納分を解消させてきたことが分かっています。

つまり、単なる一職員の「犯罪行為」ではなく、組織的・集団的な記録改ざん行為だったということです。


私が関与したY氏のケースでも、大阪の堀江社会保険事務所の元職員が、滞納事業所に対する措置として、暗黙の合意があったとみなして、標準報酬月額の改ざんを行なっていたという証言をY氏が得ています。

尾崎さんの証言は、社会保険事務所の課長を集めた研修後の懇親会の席で情報交換がなされ、滋賀県だけでなく全国でこのような標準報酬月額の改ざんがなされていたことを裏付けるものでした。


社会保険事務所の職員が標準報酬月額の改ざんを行なう動機として考えられるものは、次の2点です。


1.徴収率を上げるため。

社会保険庁は、過去、社会保険事務所ごとに徴収率を競わせていました。徴収率が良い事務所には、事務費や旅費の形で報奨金が渡されました。その額は、一年に300万円というような大きな額であったようです。渡された旅費を使って、年度末に大分の社会保険事務所を視察するという名目で、出張が組まれたりしたという証言がありました。


2.会社の存続のため。

社会保険事務所の職員が強制徴収を行なう場合、そのことによって、会社が倒産する場合があります。職員は、会社に行って経営者に社会保険料の納付を働きかけるのですから、当然、会社で働く従業員の姿を見ています。自分が強制徴収を行なうことによって、この人たちの職が失われるかもしれないと思うと、強制徴収に踏み切れないのは想像に難くありません。


私が思うに、この問題は、支払が苦しい中小零細企業に対して、社会保険料の貸付・分納などの支払猶予措置を設けてこなかったという厚生労働省社会保険庁側の構造的な問題です。

言い換えれば、国民年金では、免除や猶予の制度があるのに、厚生年金では、なぜそのような制度がないのかということです。


ある意味では、社会保険事務所の職員も、何とかして会社の存続を願い、そのおかげで舛添大臣の言う「犯罪行為」に手を染めざるを得なかった被害者とも言えます。しかし、その構造的な問題の責任者にもかかわらず、内部通報者を「犯罪行為の共同正犯」者として切り捨てる舛添大臣。

おそらく大臣にも、この問題を構造的な問題だと進言する官僚がいないのでしょう。


「共同正犯」とレッテル貼られた尾崎さんは、「勝手に辞める総理大臣に、自分たちの責任を取らない厚生労働大臣。こんな国はダメになってしまう」と嘆いておられました。

私たち民主党が、今の政府与党に代わって日本の再構築をしなくてはならないと強く思いました。



参議院議員 中村てつじ
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