国籍法17条の解釈について(国籍法12条撤廃連絡協議会)


「国籍法12条撤廃連絡協議会」の議長という人からメールをいただきました。
http://12jouteppai.blog.so-net.ne.jp/


国籍法12条には、

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第十二条  出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。

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と定められています。


この戸籍法(104条)の規定では、3か月内に国籍の留保を届けなければ、日本国籍を失うことになります。これは、二重国籍の防止を目的としています。

(私は、ドミニカ移民の問題に取り組んできたので、二重国籍については個人的な意見を持っていますが、法務大臣政務官という立場上、二重国籍の可否については、ここでは深入りしません。)


どのようなケースで問題になるかといえば、例えば、海外赴任した男性がフィリピンで現地の女性と結婚し、そのままフィリピンに残るというようなケースです。


それでは、届け出るのを忘れた場合など、親の不手際で子どもは日本国籍を「出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う」ことになります。それだけでは困るので、救済措置として国籍法17条の規定があります。

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第十七条(1項) 第十二条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

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この「日本に住所を有するとき」という文言の解釈が問題になっています。


一般的に「日本に住所を有する」とは、日本に生活の本拠を有していることであるとされています。そのため、実質的に生活の本拠が日本にあるということが重要なので、形式的に日本に滞在している形にしているだけでは、「日本に住所を有する」ことにはなりません。

(追記(2009/11/02)より正確に言えば、私法の一般法である民法22条は「各人の生活の本拠をその者の住所とする。」と規定しています。身分関係を定めている国籍法において、民法で定義する住所の定義を明文で否定していない限り、民法の定義が適用されることになります。)

通例では、6ヶ月間ぐらい継続して日本に滞在している場合には、「日本に住所を有する」と認められるケースが多いようです。


メールを下さった方は、相談窓口の現場では「永住を前提として」という法律にはない要件が付与されていると指摘されています。
http://12jouteppai.blog.so-net.ne.jp/2009-10-11

これが本当ならば、一般職の公務員が権限を越えて、法律にはない要件を作り出していることになります。それは、大きな問題です。


そこで、法務省の民事局の担当者にこの点を質しました。

そうすると、「永住を前提として」という要件をつけているということはないと回答しています。


これが法務省の正式な見解なので、もし、相談窓口で「永住を前提として」ということを要件にされているケースがありましたら、教えていただければ、幸いです。


メール 御意見を賜りますよう、お願いいたします。
m@tezj.jp