不動産仲介手数料の規制緩和と「両手取引」の原則禁止


先週から今週にかけて、民主党の成長戦略PTでは議員に対して規制改革の項目を募集していました。私は、不動産仲介手数料の規制緩和と「両手取引」の原則禁止をあげ、提案書の他に過去のブログ記事と昭和45年告示を付けました。


(提案書本文)

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不動産仲介手数料の規制緩和と両手取引の原則禁止の検討


新成長戦略でも重視されている住宅分野。現在の不動産業の仲介手数料の上限は昭和45年に定められ、〜200万円5%・200〜400万円4%・400万円〜3%となっている。400万円までの不動産取引というものがほとんどないので3%+6万円という簡易計算が用いられている。


当時の住宅市場は新築中心の売り手市場であり、消費者保護のために一定の規制が設けられたと考えられる。ただ現在と当時とでは時代の変化により市況が変化している。平成20年の調査でも、空家は5年前の前回調査と比し100万戸増え750万戸。住宅取得層である30代・40代の収入も減ってきており新築中心の住宅市場は維持が不可能になってきている。
そこで既存住宅の流通市場を整備する必要が生じている。また流通形態としてはリフォームと売買を組み合わせるようなケースも出てきており、別途コンサルタント手数料を加算する必要が出てくる等、単純な仲介手数料の上限規制が以上のような変化に対応できなくなってきている。


一方で、流通形態は現実に複雑化してきているので、建前は「仲介」の形態であっても実質的には代理・代行の性質を帯びてきており、単純な現状での引き渡しを前提とする仲介とは異なり、一つの業者が売り手と買い手を取り持つ形態では双方代理のような弊害が生まれている。また、大手仲介業者による物件の囲い込みも行われていると指摘されている。しかし、現在、不動産手数料も低額で抑えられているため、そのまま規制をかけると取引が成り立たない。事実、民主党2009インデックスで「両手取引の原則禁止」を盛り込んだものの、地方の業者からの反発があった。この点は、仲介手数料の規制緩和(ないし自由化)と組み合わせることで、冷静な議論ができると考えられる。

両手取引について「原則」禁止と断っているのは、双方代理的弊害や囲い込みなどの問題が起こらない場合があり得るため。例えば、工務店が不動産業を兼ねているようなケース。品質を担保する供給業者が売主に代わって販売をすることで、品質を保証して売却することができる。

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(過去ブログ)2009年08月13日
「住宅を扱う不動産業の未来」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20090813


(昭和45年10月23日建設省告示)
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
http://www.mlit.go.jp/common/000005996.pdf



より詳細には、長嶋修さんのブログをご覧になっていただくと全体像を掴んでいただけるのではないかと思います。(2011年02月10日(木) 不動産業界にもあった“八百長問題”)
http://ameblo.jp/03630912/entry-10796606224.html