中村てつじ「日本再構築」ブログ

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再生可能エネルギー 〜 実際に起こっている弊害


今日(2011/07/22)の蓄電議連。東京大学工学系研究科システム創成学専攻の宮田秀明教授助教である田中謙司先生からのヒアリング。
http://triton.naoe.t.u-tokyo.ac.jp/member/staff/tanaka/index.htm

テーマは、蓄電池に対する欧米の動向についてでした。


蓄電議連の講演を聞いたのは、前回の堀江先生の講演に続いて2回目でした。(蓄電議連自体は第3回でした。)
「定置型大規模蓄電システム 〜 再生可能エネルギー普及の鍵」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20110716


◇ 実際に起こっている弊害

今回の講演を伺って、先進的だと思われていた欧州の例を聞いて、定置型大容量蓄電池の開発は、早く行わないといけないという気持ちになりました。


スペインなど、固定価格買取制度を始めた国で起こっている現象は、太陽光発電風力発電で余った電力が問題になっていること。余ったままでは発熱し、機械が壊れてしまうので、結局、系統で繋がっている他の国に輸出して使ってもらっているということ。不安定な再生可能エネルギーを制御するために、結局、オンデマンドな火力発電などの発電装置がいることになり、トータルとしてCO2の排出が10%も増えてしまったこと。

このような弊害が生じていることが分かりました。


NAS電池やリチウムイオン電池の開発は、日本に一日の長があります。しかし、日本では再生可能エネルギーの産業用発電はほとんど普及していないし、系統も大きいので、けっこう系統の中で吸収してしまい、定置型蓄電池の必要性はまだ社会的に感じられるところまで行っていません。

しかし、欧州では実際に「コントロールできない再生可能エネルギーの発電」によって、大容量蓄電池の必要性は、日々増していると言っていいでしょう。


前回蓄電池について書いたブログ記事でも申し上げましたが、実用化のための資本と技術を兼ね備えているのは、日本しかありません。勇気を持って実用化に舵を切るべきです。
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20110716


◇ 具体的な実用化の方法とは何か

そこで問題になるのは、実用化までに国がどのようにかかわるべきかということです。


田中先生の分析によると、定置型大容量蓄電池の実現のためには、
1.民間に任せる
2.民間に任せて進まなければ、国が「これだけ買う」と方針を出す
3.プロジェクトに国が出資する
4.企業に国が出資する
の4パターンが考えられ、1〜4の順で検討すべきということでした。


本来ならば、1を待つべきだと思うのですが、なかなか投資を誘導できていない感じもします。国家ファンドとして「産業革新機構」がエナックス社に投資をしていますが、それが民間投資の呼び水になっているようにも思えません。
http://www.incj.co.jp/investment/deal_010.html


そうすると、次の政策的な手段としては、2の「国が購入する」という手段が考えられます。
「再生エネルギー法」が成立すると、関電や東電などの電力会社(一般電気事業者)は、家庭用だけでなく産業用の再生可能エネルギーにも買取義務が発生します。その電力が大きくなってくると、配電の系統に大きな負荷がかかることになります。欧州とは違い、日本は余ったから他の国に売るという手段もありません。
再生可能エネルギーの固定買取制度を創設する以上、その弊害を除去し、電力の安定供給を維持することには、国にも責任があります。解決策として、電力会社の負担を軽減するために、国が定置型大容量蓄電池を購入して、電機会社に貸し出すという方法が考えられます。

このときには、(1)貸し出す料金(2)メンテナンス費用(3)寿命が問題になると思います。そうすると、国から提示される入札自体が、純粋な買取という形もあると思いますが、PFIのように、何年間の蓄電保証サービスということもありえるということになります。
そして、国が調達した後に一般電気事業者に転貸するという条件になるというのが現実的な入札の形だと考えられます。


最近、円が高くなってきました。「円売り・ドル買い介入をすべき」という意見もありますが、私なら財政出動をして円貨に対する信頼を落として円安に向かわせるという方法をとります。

なぜならば、円売り・ドル買い介入というのは、政府短期証券を発行して国民から円貨を調達してドルを買い、そのドルでアメリカ国債を買い、アメリカの財政を支えるという方法だからです。財政出動は、日本国債を発行して国民から円貨を調達し、日本の財政で国内で使うという方法です。後者の方法で資金を調達して、日本の持っている技術を使って世界に先駆けた商品を作ることは、国家的な利益に適います。

日本は自国の通貨が強く、かつ、対外純資産の額も世界一多い国です。そんな国でなければ、世界中がデフレにあえぐ中、財政の赤字を出して自国経済を発展させるというようなことはできません。

グローバル競争の中で日本企業が闘っていけるように、私たち政治家は環境を整備していく必要があります。蓄電池の開発などは、数少ない選択肢の一つだと思われます。未来に必要なことは何なのか、自問する日々は続きます。


<追記>
宮田秀明先生が、今日、同じ様なテーマで書いておられるのを発見しました。先生の文章の質の良さは言うまでもありません。比較されると恥をかくのは私ですが、自分の劣っている姿を晒すのも私のスタンスなので紹介いたします。
「再生エネルギー特別措置法案には修正が必要」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20110720/221566/?P=1