障害者新法 閣議決定へ

(プレス民主号外「日本再構築」予定原稿)


障害者自立支援法の廃止

3月1日、民主党の政調役員会で、障害者自立支援法を廃止し障がい者の地域生活・社会生活を総合的に支援する法体系を作る障害者新法(案)が、3月13日の閣議決定に向けて了承されました。法制上の問題から形式的には障害者自立支援法の一部改正という手続きにはなりましたが、障害者新法の成立により障害者自立支援法という法律が日本から消えます。

もっとも閣議決定の後、国会に法案が提出され、今後、衆議院参議院で審議を経なくてはならないので、野党の皆様方の御協力がなければ成立しません。ただ、与党として合意形成ができて法案提出までこぎ着けたことは、自立支援法の廃止に7年がかりで取り組んできた私としては、非常に感慨深いです。


◇ 新法の編成へ

障害者自立支援法は何が問題だったのでしょうか。法案が提起されたのは2005年、私が2期目の衆議院議員の時でした。支援費制度が導入され障害者の福祉サービス利用が増えてきたため、予算が足りなくなるという現象が起こりました。そこで、障害者の皆様から原則1割負担の自己負担(応益負担)を求める代わりに予算不足を起こさせないという構成の法案が提案されました。

ただ、収入のない障害者の方々に応益負担を求めると、もらう工賃よりも利用料が高くなり作業所にも行けなくなるということが目に見えていました。そこで、私は(落選した)郵政選挙の時にも廃案になった障害者自立支援法の阻止を公約にしたのでした。


2009年の政権交代後は、内閣に「障がい者制度改革推進本部」が設置され、当事者が参画する「障がい者制度改革推進会議」が設置されました。自立支援法の抜本改革については、その下の「総合福祉部会」で議論がされてきました。意見の取りまとめがなされ、昨年8月に「骨格提言」が政府に示されました。

この骨格提言は、障がいを持つ当事者参加の下で作られ、そのままの形では今すぐ実現できないものも多く含まれました。そのため、今回の障害者新法では今すぐというわけにはいかなかったものもあります。しかし、それだからといって当事者参加の議論に意味が無かったわけではなく、今後の障害者福祉政策が障害者権利条約の理念に沿った形で、どこを目指していけばいいのかハッキリしたという意味で非常に画期的な意味がありました。


前出の応益負担は、新法までのいわゆる「つなぎ法」で政権交代後に応能負担となりました。新法の法案では、難病など制度の谷間をなくすこと、施行3年後の見直し、重度訪問介護精神障害・知的障害への拡大も確定しました。この後ろ2つの部分については、政府事務方の抵抗も強かったのですが、与党内での激しい議論の結果、最後の最後で盛り込むことができました。この新法を新しいスタート台にして今後も更なる障害者福祉制度の充実に取り組む決意です。