若者に仕事を。(お年寄りに安心を。)


土曜日の静岡での講演。恩師の海野徹(うんの・とおる)元参議院議員が主催する勉強会が終わった時、名刺交換をしている時の話です。

「中村さん、今日のお話を伺っていると、「国民の生活が第一」は若者の未来のために結成されたと訴えるべきですよ」という御意見をいただきました。


確かにそうなんです。

私が消費税増税に反対しているのも、「原発ゼロへ」をめざすのも、日本の若者が将来に希望を持て、「この国に生まれて良かった」と実感できる世の中にすることが目的です。


消費税増税は、地方や中小企業など、弱いところに悪い影響が強く出ます。

「若者のための増税」と政府は言いますが、中小企業が潰れれば、若者の雇用がなくなります。

また、政府は、逆進性対策を住民税の世帯非課税に対して行うと考えている(いた?)ようですが、それでは、単身の若者であれば、年収が100万円を越えると逆進性対策を受けられなくなってしまいます。

消費税増税は「若者のための増税」とは嘘なので、「嘘を嘘と認めるべきだ」と私は指摘して参りました。


原発ゼロへ」というのも、将来の世代に不安を持たせないためです。また、原発に代わる代替エネルギーの開発に投資がなされれば、新産業が生まれ、雇用が生み出されます。


不況の時、かつ、デフレの時に、増税をすると、デフレスパイラルに入り、中小企業は潰れ、雇用がなくなります。若い世代の非正規率が上がると、社会人になってからの人材育成の機会が失われ、中長期的に見た日本の生産性は低下してしまいます。

今は、デフレなのですから、金融緩和の効果が現れるように、銀行に溜まっているマネーを融資か国債の発行により市中に引き出さなくてはなりません。しかし、融資は現在の経済状況が悪いためになかなかなされません。だから、短期的な政策としては、国債の発行しかデフレ脱却のための有効な手段は見当たらないわけです。


それでは、どの分野に公的支出を振り向けるべきなのでしょうか。それは、「人への投資」とエネルギーの分野です。

民間投資の足りない部分を公的投資でまかなうことで、社会全体が必要な投資を満たすことができます。


大学生が借金をして大学に行く場合、社会人になった後、借金返しに追われ、文化的な生活は後回し、婚活も後回しになります。これでは、「出産適齢期」の間になかなか結婚もできず、少子化に拍車がかかります。

若者が早く結婚し、女性が「出産適齢期」のうちに子どもを産め、家庭を安定させる持ち家を持てるようにするには、(子ども手当、高校の無償化だけでなく)高等教育の無償化(大学の無償化)も実現していく必要があります。

このような方向が「人への投資」です。

また、教育費が親の世代の可処分所得を制限していることを考えると、「人への投資」は、子育て世帯の可処分所得を増やし、個人消費を拡大することに繋がります。


エネルギーの投資の分野も、若者に雇用を生み出す新産業として重要です。

私は、住宅政策を長らく担当してきました。建物の省エネを実現するには、いろいろな投資が必要です。そこには、手間も生まれます。

エネルギーの分野と言えば、創エネばかり注目されますが、このような省エネも大きなエネルギー分野の新産業となります。


原発ゼロへ」という政策も、使用済み核燃料をどのように処理するのか、廃炉をどのように実現するのか、というようなこれから解決策を確立していかなくてはならないテーマもたくさんあります。これらも、雇用を新しく生んでいく分野です。

また、代替エネルギーの開発についても、再生可能エネルギーばかりでなく、天然ガスコンパインドサイクル発電など、今まで原発と競合していたので正面から進まなかった分野にも道が開けます。


「この国に、いま、何が必要なのか」という視点で物事を見ると、やるべきことが見えてきます。

今日も、駅立ちをしながら、そのようなことを考え、訴えました。