日本銀行の追加緩和と住宅ローン債権


昨日、日本銀行が、金融の追加緩和を発表しました。資産買い取り枠を70兆円から80兆円と10兆円の積み増しをします。この額については、「少ないのではないか」という意見もありますが、私は着々と金融緩和を行ってきている日銀の白川総裁を(現段階では)支持をしています。

もっとも、山口副総裁は、国会(社保税一体特委での川崎稔議員に対する答弁)で、デフレ脱却のために財政政策を取るべきではないと受け取られかねない答弁をされました。もう少しきちんと答弁をしてもらわないと、いわゆるリフレ派からの「日銀法を改正して、総裁・副総裁の解任権を国会に与えるべき」との主張にはなかなか抵抗できないなあ、という気持ちになります。


さて、日銀が今追加緩和をしたのはなぜという話で、「何もしないと円高になり、批判される恐れがあったから」という指摘があります。確かにその面は否定できませんが、このブログ記事では、米国がMBSを買うのに日銀は国債を買うのかについて解説を致します。(この点は、9月18日にツイッターで述べたので、以下の記述はツイートの加筆です。)


先週、米国中央銀行MBS(住宅ローン証券化商品)を買い取ると発表しました。額は毎週400億ドルとのこと。私は「すごいことを思い切ってするなあ」と思いました。これで住宅金融(住宅ローン証券)については銀行のバランスシートから切り離されるので、更に住宅ローンが活発化(貸し出しの促進)→住宅投資が促進→景気回復という形で進みそうです。

今回、日銀の追加緩和策は、短期国債5兆円、中長期国債5兆円ということで、MBSは入っていません。「日銀も」という声もありそうですが、日本の場合、MBSは固定金利フラット35」の証券しかなく、流通量が圧倒的にアメリカと比べて少ないです。

また、そもそも日本の銀行は、金融緩和されてダブダブにだぶついているお金を住宅ローンの貸し付けに使っています。証券化してバランスシートから切り離すという必要性も日本の場合にはありません。

それゆえ、日銀がMBSを買ってもそんなに実体経済にお金が回ってこないという苦しい現状が日本にはあります。


また米国と比べて、日本の住宅市場は、新築市場が主で、中古住宅市場が主でない点も、証券化できない背景としてあります。この中古住宅市場の整備は、「国民の生活が第一」の経済政策の一つの柱にしていこうと思います。

実は、今年から来年にかけて日本の住宅政策は大きく進んでいきます。今年の年末までに12月施行予定の「低炭素まちづくり法」に基づく認定低炭素住宅のスペックが決まります。同じ頃に省エネ基準の改訂も行われます。

つまり、今年の年末にかけて、住宅の省エネについての動きが出てきます。その後、今年度中(つまり来年3月まで)に新築の住宅性能表示の改訂(温熱等級)が変わります。


その成果が、次の一年かけて既存住宅の性能表示制度を改訂する作業に活かされます。つまり、来年度末(2014年3月末)には既存住宅性能表示が大幅に改訂され、大規模リフォーム後の家は、性能が確保された家になりえます。そうすると、中古住宅の市場形成に役立ち、その後、住宅ローンの証券化が進むことになります。


私が「票にならない」と言われながら、住宅政策に取り組んでいるのは、以上のような構造があるからです。日本の住宅が(1000万円ぐらいの)リフォームにより良い性能となり、その性能は既存住宅の性能表示で第三者性を確保され、さらに、それが中古住宅市場でも評価されるようになる。このような流れができると、中古住宅が安定した値段で取り引きされるようになります。その結果、サラリーマンが住宅ローンから解放されます。

私は、勤労者の生活向上のために政治活動をしています。
今後とも、サラリーマンの可処分所得向上のために努力をして参りますので、また皆さまからの御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。