「NHKスペシャル「日本国債」」の問題点


ツイッターでコメントを求められましたので、12月23日(日)に放送されましたNHKスペシャル「日本国債」を拝見しました。問題点はいくつもありましたが、大きな点だけでも取り急ぎ書いておきます。


まず、第一点は、国債の危機を煽るヘッジファンドの意見だけを流し、そのロジックを説明していないからです。

繰り返しこのブログでも申し上げている通り、過去日本国債の売りを仕掛けたヘッジファンドは、相対する膨大な買いが生まれてきて、全て失敗しています。

NHKスペシャルで、ヘッジファンドの意見を流すのであれば、過去、なぜ売りのヘッジファンドはいつも手痛い失敗を続けて来たのかという結果と根拠も放送する必要がありました。

私の見方では、これらのヘッジファンドは「ポジショントーク」をしていて、自分の張っている相場に有利な情報を流しているというものです。つまり、国債が実際に下がってもらわないと損をするため、そちらに誘導しようとしているわけです。


第二点の問題点は、国債の信用を判断するには、その国債がどの通貨によって発行されているのかという「通貨建て」が圧倒的に重要なのに、その点を全く無視しているからです。

番組中に出ていた、ギリシャポルトガルはユーロ建ての国債です。ギリシャポルトガル国債が暴落したときに中央銀行に買い支えてもらうことができません。また、ギリシャポルトガル国債を売って得たユーロで、ほかのユーロ圏の国の国債を買うこともできます。


しかし、自国通貨建ての通貨で国債を発行している国は、国債が売られる時には中央銀行が自行が発行する通貨と引き替えにして国債を購入することができます。また、国債が売られても、売った者は得た通貨で何かを買わないといけず、景気が回復している時なら国債より利回りの良い株式や不動産を購入できますが、景気が回復していない時には、けっきょく国債しか買えなくなります。

いまの日本国債の低金利(高価格)は、このようなメカニズムに支えられています。


第三の問題点は、『財務省の罠』でも書いたように、日本国政府国債を発行すれば、銀行から移転した預金が政府支出を通じて民間に移転し、同額の預金が民間部門にもたらされるという点が欠けていることでした。

財務省の罠』p.24-26 DL http://bit.ly/SfvtZ1 直表示 http://bit.ly/YsI2Vf


その証拠に、日本銀行ホームページ(時系列統計データ検索サイト)からのデータを元にしてグラフを作ってみても、政府が国債を発行している期間、民間の持っている預金は増え続けています。
http://data.tezj.jp/2012-1225M2.pdf


第四の問題点は、国債が破綻している国は、全てほかの国からお金を借りている国であり、その逆に、日本は世界最大の純資産国であるということを隠している点です。

日本はほかの国にお金を貸している国なので、自国通貨が下がれば、利益を確定させようと外貨売り・自国通貨買いが生まれてきます。簡単には円安にならないのは、こういう仕組みが背景にあります。


取り急ぎ「NHKスペシャル「日本国債」」の問題点を4点書いておきましたが、この番組を見ての感想は、「やっぱりNHKは、政府機関だなあ」ということでした。NHKも財務省支配の構造下にありますね。

いつの日か国会に戻ったら、NHK法を改正して、経営のチェックを政府や国会から権限を移して、受信料を払っている国民が直接選挙して選ぶ経営委員会が経営・番組作成のチェックを行うという仕組みに変えなくてはならないと思いました。


日本未来の党奈良県第2区)中村てつじ
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