中村てつじ「日本再構築」ブログ

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「政府支出と銀行振込」が通貨を増やす(「通貨のひみつ」補足説明第3回)

(2013/09/10「中村てつじメールニュース」バックナンバー)

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今号は、メールニュース「通貨のひみつ」シリーズ補足説明第3回です。

御質問の3つ目は「「通貨のひみつ」第5回の説明を具体的な例を挙げてして下さい。中村さんの頭の中では当たり前のことなのでしょうが、説明をはしょりすぎています。銀行に1兆円のお金が戻ってくるとはどういうこと?」というものでした。

本来は、第5回でもう少し丁寧に説明すべきことでした。今号はこの御質問に対してお答えいたします。
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130907

今回は、詳しく例を設定してあらためて説明いたします。この板書を併せてごらん下さい。
http://on.fb.me/17Iq3ju



政府が1兆円の国債を発行します。A銀行・B銀行・・・J銀行の10銀行はそれぞれ1000億円の代金を支払うため、日銀当預から政府口座に振り替えをします。…(1)

【資産】
A銀行 日銀当預1兆円 → 日銀当預9000億円+国債1000億円
B銀行 日銀当預1兆円 → 日銀当預9000億円+国債1000億円



J銀行 日銀当預1兆円 → 日銀当預9000億円+国債1000億円

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銀行全体 日銀当預10兆円 → 日銀当預9兆円+国債1兆円


政府はA〜Jの10銀行から振り替えられた合計1兆円を使って、政府支出を行います。政府支出とは、公共投資社会保障費など、政策の実行に対する対価です。

仮に、民間人である田中さんに100万円の支払をするとしましょう。政府がA銀行にある田中さんの口座に100万円を振り込んだとします。(実務上、政府の出納業務は日本銀行が行うのですが、ここでは単純に説明をするため実質的な振込権者である政府を主体として説明しています。)

A銀行にとって田中さんのA銀行口座の預金100万円は、100万円の借金です。だから、「日本国政府さん、きちんと100万円を払って下さいよ」という話になります。…(2)


この時点で、政府支出に伴う銀行への決済は、前回補足説明をした民間同士の銀行振り込みの決済と同じことをするということが分かります。

1兆円の政府支出に伴って、いろいろな銀行への支払が必要になってきます。民間が使っている取引銀行はバラバラなので、当然、政府支出の振込先である各銀行は政府が支払う金額もバラバラになります。

政府からA銀行への支払も、田中さんの100万円だけでなく、さまざまな人、さまざまな企業への支払があります。それを全て足し合わせた金額を各銀行に支払うことになります。

仮に、A銀行には2000億円、B銀行には500億円、・・・J銀行には1000億円となったとします。しかし、総額は1兆円の支払なので、政府から銀行全体への支払は合計で1兆円になります。図で示すと、

政府→A銀行 2000億円
政府→B銀行 500億円



政府→J銀行 1000億円

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政府→銀行全体 1兆円

となります。

このそれぞれの額が、政府口座から各銀行の日銀当預に振り替えられるわけです。…(3)

それゆえ、各行の日銀当預の額が振り込みの額分だけ回復することになります。この時点の資産は、以下の通りになります。

【資産】
A銀行 日銀当預1兆1000億円+国債1000億円
B銀行 日銀当預9500億円+国債1000億円



J銀行 日銀当預1兆円+国債1000億円

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銀行全体 日銀当預10兆円+国債1兆円

【負債増】
A銀行 2000億円の預金
B銀行 500億円の預金



J銀行 1000億円の預金

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銀行全体 1兆円の預金

このように、銀行全体で見ると、資産として国債1兆円が増え、負債として預金が1兆円増えたということが分かります。また、各銀行の資産と負債を見ると、負債が増えている分だけ資産が増えていることが分かります。つまり、各銀行の資産と負債はバランスしています。

仮に、B銀行が日銀当預を元の1兆円に戻したいと思った場合には、A銀行に500億円分の国債を売却することでA銀行から日銀当預が500億円振り替えられるので、B銀行の日銀当預は9500億円+500億円=1兆円へと元に戻ります。その場合、両行の資産は、

A銀行 日銀当預1兆0500億円+国債1500億円
B銀行 日銀当預1兆円+国債500億円

ということになります。


「数字がいっぱい出てきたので、かえってよく分からん」ということになったのではないかと思います。私の説明能力の限界ということでお許し下さい。

「簡潔な説明と詳しい説明は両立しない」ということを言い訳に、冗長になったかも知れません。今後、更に研鑽を積んで参ります。


さて、次は「国債のひみつ」シリーズを考えています。以下のような項目を考えています。ただ、お金のことばかりお伝えしてきたので、ちょっとお金のことはお休みした方がいいかもしれませんね。

「メールニュース」というぐらいですから、時事テーマに沿ったものに少し戻そうかな、とも思っています。そうすると、もう一つ重要なテーマ、憲法集団的自衛権の行使について少しお伝えした方がいいかもしれません。

また、別途、経済政策の対案として「希望の国への公的投資」シリーズも考えています。給料は上がらず物価ばかり高くなっていて、いわゆる「アベノミクス」の限界も見えてきました。具体的に明るい未来が見える処方箋についてお伝えするのもいいのかなと。こちらの方も候補として考えています。

ご意見を賜れれば幸いです。

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「通貨のひみつ」シリーズ バックナンバー

0:消費税増税に関連して〜いわゆる「お金を刷る方法」とは何か?
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130902

1:「通貨」の定義
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130903

2:融資=貸付のしくみ
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130904

3:なぜ銀行は「貸せない」のか
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130905

4:2つの通貨
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130906

5:もう一つの信用創造国債の発行+政府支出」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130907

補足1:債権とは?債務とは?
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130908

補足2:銀行振込のしくみ
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130909

補足3:「政府支出と銀行振込」が通貨を増やす(第5回の補足説明)
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130910


その後、国債のひみつ」シリーズ
1.国債と通貨建ての関係〜ギリシャ国債はなぜ暴落したのか?
2.国債売買と日銀当預との関係(銀行にとって国債は通貨に準ずるもの)
3.日銀当預に付与される金利当座預金なのに利息が付くしくみ
(4以下は未定)


その次は、希望の国への公的投資」シリーズ
1.日本の強さは通貨力と工業力
(通貨力は国債の発行→財政力へ/消費税を上げなくていい理由)
2.日本の国力の源泉は工業力
(通貨力を下支えするのは工業力/公的投資は工業力維持のために)
3.サラリーマンを住宅ローンから解放
(ストック重視の住宅政策への転換を加速させる)
4.サラリーマンを教育費から解放
子ども手当、高校無償化、その先の大学の無償化)
5.山の木を活かす地域振興〜いわゆる「里山資本主義」
(人間にとって必要なのは、水、食糧、エネルギー)
6.省エネ発電の主軸=GTCC(天然ガスコンバインドサイクル発電)
(7以下は未定)

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