ギリシャの国民は無用の苦しみを味わっている

今朝、ツイッターギリシャのことを書きました。ブログにもまとめておきます。

ギリシャ国民が自分の銀行預金を引き出せなくなっています。国民が自分の預金を引き出せないなんて日本では考えられませんが、ユーロ圏内では起こりえます。日本の場合には銀行の手持ち現金が足りなくなったときに日本銀行が緊急融資をしますので、取り付け騒ぎは起きません。しかしユーロ圏内では違います。

ユーロ圏内では自国の中央銀行が勝手に銀行への融資はできなくなっています。より上位にあるヨーロッパ中央銀行(ECB)が緊急融資をするかどうかを決めます。ECBがギリシャ政府の出方しだいだとしているので、資金の提供がされないだけの話です。

話が難しくなったので、喩えで話します。

今回ギリシャ国民が自分の預金を引き出せないのを見て、ナニワ金融道で描かれていたシーンを思い出しました。金融業者からお金を返せなくなった婚約者に代わって、女性がソープランドでお金を稼いで返すシーンです。これをひどいと思うかどうか、当然のことだと思うかどうかです。

本来、お金を返せないということと、返せない場合にどのように処理するのかということは別の話です。返せない場合にどのように処理するのかについては、いろんな方法があります。債務の減免をするのが一般的な話でしょう。他人が体を売るなんて話は最後の最後、例外中の例外の話です。

預金を人質に取る方法を唯一の方法だとEUは言っています。これに対して、他に方法もあるだろう、とギリシャの方は言っているということなのだと思います。

EUが今やっていいることは、ギリシャ国民の預金を人質に取ってギリシャ政府に圧力をかけているということです。ギリシャのチプラス首相が国民投票にかけたのは、預金を人質に取られている国民に対して、一緒に戦おうと呼びかけたという感覚なのだと思います。

ギリシャ国民は、短期的には預金封鎖で困るが、長期的にはこれ以上の失業、生活不安には応じられない、ということを考えたのだと思います。

私自身は、共通通貨ユーロにより恩恵を一番受けているドイツがギリシャの負担を負うべきだと思います。ギリシャが入ってくれている為に、ユーロが弱くなりドイツの輸出産業が伸びていたからです。もしマルクだったら、マルク高になって輸出は伸びなかったはずです。

ギリシャの方にはユーロ離脱という選択肢はないと思います。単独通貨ドラクマよりユーロの方が世界で通用し世界中からモノを買えます。ドラクマに戻れば、通貨の価値が下落するので輸入価格が上昇、インフレになって国民の生活が困ると予想されます。積極的に選ぶことはないでしょう。

ドイツも、とことん追い込むことはできないと思います。ギリシャのユーロ離脱ということになると、現在発行されているユーロ建てのギリシャ国債が完全に焦げ付き、ヨーロッパの民間銀行のバランスシートが悪化します。ドイツは耐えられるかも知れませんが、他の欧州諸国は銀行の貸し渋りで困るでしょう。ドイツ発の世界大恐慌になりかねません。ドイツにそのリスクを背負い込むことができるのか。無理でしょう。

いづれにせよ、そもそも世界経済がゼロ成長・低成長の時代に入っているのに、財政赤字を3%にまでに留めないといけないというEUのルールそのものが前時代的です。ユーロが失敗したのではなく、財政規律のルールがおかしいだけです。ユーロは未だ未だ復活できます。

無所属(元衆議院議員・前参議院議員)中村てつじ
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