アベノミクス第二幕

 もうあまり時間は残されていません。気づいている人は多くないと思います。あと7ヶ月です。

 アベノミクス第二幕が始まります。

 私の分析では、最短で来年の6月頃です。この7年間とは質の違う、大規模な経済政策です。今までは布石でした。

 この予想が外れてくれることを私は願っています。(2020/06/14追記:外れてくれてとても良かったです。野党に時間的な余裕ができました!)

 早く、野党が団結をして、安倍政権に先んじて、経済政策を打ち出してくれることを望んでいます。その思いを込めて、この原稿をブログに載せます。いま書いている原稿が第五章第四節まで来ました。その部分だけをまずお伝えします。

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第五章第四節 本当の解決策 国債の発行と財政の拡大


 ここまで述べてきたように、黒田総裁の7年間の方針は、徹底的な金融緩和をしても、日本の経済は再生しないという結論を実証するための実験だった。このような実験は、綿密な分析を行ってきた三人、つまり、安倍晋三総理大臣、麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣、黒田東彦日本銀行総裁の三人が揃わなければできなかった。


 次にこの三人が狙うのは何か。

 異次元緩和の次の段階、そう、異次元の「財政の拡大」である。


 時期はいつか。

 ここで、消費税の増税時期が重要になる。2019年10月に消費税は8%から10%に上げられた。財務省としては、2010年の菅政権から9年越しで狙ってきた消費税増税が完成した瞬間である。それでは、9年前にはどのような議論があったか。リーマンショック級の経済の不調があれば、消費税の増税を行わないという「景気条項」という条文があった。


 今回行われた8%から10%への消費税増税は、当初、2015年10月の予定だった。

・2014年11月に、2017年4月へ1年半延期
・2016年6月に、2019年10月に2年半延期

という形で2回に渡り、計4年間も延長されてきたわけである。


 その背景には、「アベノミクス」と称して経済政策を重視してきた安倍政権が、消費税増税の悪い影響を懸念して、先延ばしにしてきたことが理由である。

 今回、三回目の延長をしなかったのは、これを機会に、次の段階に入ろうとしているのだと私は分析する。


 異次元緩和をしても経済が再生できなかった場合、どのような状況が整えば、国債の追加発行と財政の拡大ができるだろうか。
 よく考えてみれば、財務省の言うとおりに増税をして、景気が悪くなったときである。つまり、経済対策が切れて、悪い影響が出始めたときに、次の段階に入ることが政治的に許される。

 そうすると、その時期は、消費税の経済対策が切れる2020年6月以降だ。悪い影響が明らかに現れる、東京オリンピックが終わった2020年秋は、最大の機会になる。


 安倍政権は、経済対策という錦の御旗を得て、第二次安倍政権成立直後の2013年1月に10兆円の補正予算を組んだように、多額の補正予算を組み、自民党公明党を支持する利権団体への露骨な利益誘導を行う。

 また、野党の息の根を止めるために、保育園の無償化だけでなく保育士の給料を増やす政策、介護人材不足を埋めるための介護士の給料を増やす政策、若い世代からの支持を確固とするために大学の無償化(約3兆円)と若い世代への月額数万円の手当の給付(月2万円ならば約3.6兆円)を行う政策を実行する可能性もある。

 国土強靱化の予算として更に5兆円としても、15兆円の補正予算を組めば十分だ。

 その時に総選挙を行うかもしれない。


 そして、次の年からも、物価がインフレ目標の2%まで上がらなければ、一年ごとに右で述べたような政策を補正予算で実行していく。その頃までには、国債が国家の借金というよりは、日本銀行当座預金=銀行の「普通預金」、国債=銀行の「定期預金」という理解が進むだろう。このようなプロセスを通じて、財政の拡大が恒常化していく。

そうすると、補正予算ではなくて、本予算で財政が拡大されるようになる。


 この経済・財政の構造変化を完成させることができれば、安倍政権は更に長期の任期を得ることができる。私の感覚では、自民党総裁任期は2021年から始まる4期目どころか5期目・6期目も見えてくる。

 そうすると、2030年まで安倍政権が続く可能性がある。


 野党には、いま、政治的に危機的な状況にあることを認識していただく必要がある。

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私が書く本なんて必要ないような社会になって欲しい。

そう思います。