「改革はウソ!」の小泉政権


泥棒国家の完成 (ペーパーバックス)

泥棒国家の完成 (ペーパーバックス)

小泉政権の最大の問題点は、一言で言えば、今までの公共事業中心利権構造から、金融中心利権構造に転換していく過程を構造改革と称し、見せかけの改革を演出している点です。

インターネット上で見られる書評にあるとおり、確かに、この本の記述については、ウラをとりにくい記述が多いです。しかし、倒産事件を多く扱っている弁護士から私が聞いたウラ話と合わせると、納得できる点は多かったです。おそらく、本当のことは活字にすると危険だということなのでしょう。(政・官・業・ヤクザの鉄の四角形)

この弁護士いわく、

  • 現在、外資は、銀行から不良債権を土地つきで買っている。
  • その資金は、その銀行が貸している。
  • そのときの担保は、「ノンリコース」(代物弁済のこと)。

つまり、

銀行は、金融庁が怖いので、バランスシートから不良債権を切り離すために、外資によるファンドに不動産が担保についた不良債権をバルクで(まとめて)売る。ファンドは、それらの不動産をまとめてリート(不動産投資信託)という債券の形にして売る。そのリートは、はじめの数年間は、リターン(配当)が大きい設定にする。そのリートが儲からなくなったときには、担当者は辞めてすでにそのファンドにはいない。

ということです。また、銀行の財務の側から見れば、

まず、銀行が自分で損をかぶって、ファンドに不良債権を売る。そして、その資金も銀行が用意し貸し付ける。つまり、グルグルと銀行のカネが回っているだけ。さらに、貸し付けはノンリコースの形を取るので、ファンドが破綻した場合、銀行の手元に残るのは価値の下がった不動産だけということになる。ファンドへの貸し付け額と不動産の処分価格の差が損失となり、銀行が負担することになる。

そして、不良債権処理時の損失とノンリコースによる代物弁済時の損失というダブルの損失が蓄積すれば、破綻する銀行も出てくる。破綻の損失は、ペイオフにより預金者が負担するか、公的資金(税金)の投入によって国民が負担するか、という結論になる。

ということです。いつも損をするのは、真面目に働く側ということですね。

小泉・竹中ラインの自称「改革」の問題は、すぐには表面化しません。郵政民営化の問題が明らかになるのも、おそらく民営化後、数年経ってからでしょう。以上で述べた仕組みも、大手のマスコミは良く知っているはずです。なぜ、書かないのでしょうか。それこそ、「名誉毀損」で訴えられるのが怖いから、書けないのでしょうか。


今ほど、言論の力が必要とされている時代はないのではないか、と思います。