増税=次の国政選挙の争点

本日(2005年11月13日)のテレビ朝日サンデープロジェクト」で、竹中平蔵(たけなか・へいぞう)総務大臣与謝野馨(よさの・かおる)経済財政担当大臣が、増税をめぐって討論をしていました。

竹中氏「増税を先にやれば失敗する、まず資産売却を」

 竹中平蔵総務相与謝野馨経済財政担当相は13日、テレビ朝日の番組に出演し、消費税引き上げなどについて議論を交わした。「増税を先にやった国は必ず失敗している」と主張する竹中総務相に対し、与謝野経財相は「歳出削減だけで財政再建ができるという錯覚を与えてはいけない」と反論。立場の違いがあらためて鮮明になった。

 竹中総務相は「日本の国の資産は米国の5倍。ちゃんと資産を売却して、そこで初めて国民負担の議論をするのが当然の手順だ」とし、特別会計見直しの「大きな目標を作るべきだ」と主張した。さらにデフレ克服の重要性も指摘。「デフレ克服は日銀。歳出削減と資産の売却は財務省。日本をリードしてきた政策集団の真価が問われる」とした。

 これに対し、与謝野経財相は資産売却の重要性は認めながらも「(資産の)売り食いだけでは限界がある」とし、歳出削減と増税はセットで議論されるべきだとの立場を強調。〔共同〕 (16:48)

 (日本経済新聞のサイト:http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20051113STXKA014613112005.html


「何か変だな。」
とお思いになりませんか。


通常、大臣同士が「立場の違い」を「鮮明」にしたと受け取られるような発言をすることはありません。なぜならば、国会で「内閣の中が不一致だ。政府としてはどう考えているのか。」と追求されるからです。また、大臣同士の意見が食い違っていることは、政権の不安定化を印象付けるからです。


しかし、その可能性も分かりながら、両大臣は「立場の違い」を「鮮明」にしたと受け取られるような発言を故意にしている、ということになります。


その理由。


1.まず、民主党の影響力が国会内でほとんどなくなり、マスコミ対策上、野党のことを配慮しなくてもよくなったという理由。

民主党議員の衆議院での議席が現在の1.8倍あった時でさえ、内閣内の不一致を民主党が国会内で追及しても、マスコミは取り上げなくなりました。小泉総理・小泉内閣の各大臣の答弁も、「いろいろな意見が閣内でもあります」というような答弁でもマスコミが許すようになりました。


2.次に、次の国政選挙の争点が「増税」になりそうなため、あえて、政府与党内で増税を争点にすることにより、選挙の際の与野党間の争点にならないように、今のうちから国民の皆様になれていただくという積極的理由。

このことにより、国政選挙のころには、「自民党の中でしっかり議論を尽くし、歳出削減にも取り組んできたことは、テレビでも報じてきたじゃないか。増税に反対するのは、財政再建に反対する「抵抗勢力」だ。」という世論形成ができるようになるということです。


もし、マスコミのあり方が今のままであれば、歳出削減の努力は中途半端なまま、しかし、歳出削減の努力はなされたことになります。そうすれば、今回の衆議院選挙の際の「郵政民営化」と同様に、次の国政選挙の際には「増税」が「改革」のスローガンになるのは間違いないでしょう。

その際に、民主党が「安易な増税に反対」と訴えれば、税金をあまり払っていない層は自民党に投票することになり、自民党が勝つことになる、という姿が目に浮かびます。

来年からの定率減税の縮小・廃止が、中堅サラリーマン層を狙い打ちにしているにもかかわらず、衆議院選挙の結果に影響しなかったのは、自民党にとっていい前例になったと言えます。


ここまで見えてしまうと、私にとっては、とてもしんどいです。

民主党にとっての勝負は、来年の通常国会予算委員会です。このテレビ入りの審議の際に、どれだけ税金のムダづかいを自公政権が放置しているのか、具体的に明らかにできるかどうか。

私自身、党内で働きかけを強めていかなくてはなりません。