交通事故の遺族と企業(1)

裁判の傍聴のため、奈良地方裁判所(写真)に行ってきました。地元で起きた大手運送会社による交通事故。被害者は、10代の青年でした。ミニバイクに乗っていて、狭い坂道でトラックに轢かれてしまった事件でした。

この日、論告求刑がありました。
禁固1年が求刑されました。


私自身、子どものころからこの大手運送会社をよく利用させていただき、被告である運転手の方も、私の実家によく配達に来ていた人だと思います。しかし、事件を起こした後の司法の現場では、地域で親しまれていた人間性が被告から消えてしまう。

このような点に、「大企業の従業員が起こす事件の特異性があるのではないか」と感じてきました。この被告のバックには、大手運送会社がいる。組織の論理に縛られている被告の心の様子が手に取るように分かります。おそらく、被告は、自分の自家用車で同じような事件を起こしたならば、この裁判での頑なな態度はとらないのではないかと思います。

企業によるサービスは、とても安くて便利なのですが、このような影の部分を忘れてはなりません。


次回12月19日の期日が、結審になりそうです。

ここまで来るには、被害者のお母様の並々ならぬ努力がありました。私も、運送業者によるトラック事故について衆議院予算委員会で質問をしたことがありますが、これは、このお母様に他の遺族の方を紹介していただいて、させていただいた質問でした。http://tetsu-chan.com/katsudo/kokkai/gijiroku/030219.html


関係者の取り組みに、あらためて敬意を表すとともに、「個人と企業」という大きな問題に、取り組んでいかなくてはならないと強く感じました。