「廃止」法案提出


5月23日(金)、民主党は野党4党共同提案で、後期高齢者医療制度「廃止」法案を参議院に提出しました。週明けから、私が所属している参議院厚生労働委員会で審議がされます。

後期高齢者医療制度は、75歳以上のお年寄り全員が加入する新しい老人医療制度です。目的は、老人医療費の削減。最大の問題点は、自己負担を増やしたことに伴い、受診抑制がなされるようになるという点です。


具体的には、データにそのことが現れています。

厚生労働省の試算に拠れば、後期高齢者医療制度をはじめとする平成18年度医療制度改正によって、平成20年度のお年寄りの医療費は、11兆8700億円から、11兆3700億円へと、5000億円削減されます。しかし、そのことに伴って、公費(税金)の投入額だけが、6200億円も削減されています。つまり、現役世代の負担は1100億円増、お年寄り世代の負担も100億円増になっています。

そして、5000億円削減される原因としては、(1)診療報酬の引き下げ、(2)自己負担額が上がることによる受診抑制(ナガセ効果という)、この2点が上げられています。


つまり、お年寄りは、これから老人医療費が増えるという理由で、自己負担を上げられ、結果、受診抑制がなされ、老人医療費が削減される結果に、「たまたまなっている」というのが、厚生労働省の立場です。
しかし、これでは、目的と手段が逆転していると言わざるをえません。税金投入のみが減っていることを見ても、隠された意図は明らかです。


そこで、民主党としては、他の野党と共同して廃止法案を出したのです。ただ、私は、その内容については少し不満を持っています。共同提案した法案の中身は、原則として、従来の老人保健制度に戻す内容になっています。私は、後期高齢者医療制度の問題は、負担増による受診抑制なのだから、その点だけ修正すれば実質的な廃止法案となり、地方自治体にも負担をかけないと党内で主張しました。しかし、残念ながら、完全廃止を主張する他の野党との関係を優先し、老人保健制度に戻すという内容になったのでした。


ただ、野党4党が共同提案の形で、後期高齢者医療制度廃止法案を出したことによって、与党が実質的な見直し案を作るという動きになりました。「野党がきつめの案を出すことによって、与党が引きずられて今までのやり方を変える」という「ねじれ国会」の今までの流れを見ると、野党共同提案という形の方が、政治全体からは有効だと言えるのかも知れません。


ともかくも、会期末に向けて、私の所属委員会が主戦場になり、かつ最終のテーマとなります。精一杯頑張ります。


参議院議員 中村てつじ
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