労働者派遣法の改正について

(記 2009/04/07)


今日(2009年4月6日)の民主党非正規雇用対策PT」で、3月31日に発表された雇用関係の統計について議論がなされました。


私が特に問題だと思ったのは、労働者派遣契約についての「派遣元指針」「派遣先指針」の改正でした。


改正の内容は、

(1)派遣契約の中途解除に当たって、派遣元事業主は、まず休業等により雇用を維持するとともに、休業手当の支払い等の責任を果たすこと

(2)派遣先は、派遣先の攻めに帰すべき事由により派遣契約を中途解除する場合は、休業等により生じた派遣元事業者の損害を賠償しなければならないこと

(3)派遣契約の締約時に、派遣契約に(2)の事項を定めること

などということです。


ここで、津田弥太郎(つだ・やたろう)参議院議員が、「(2)が派遣契約に含まれていない場合には、どうなるのか。民法上、契約は無効になるのか。」と質問したところ、厚生労働省は、「民事効はありません。行政指導の対象になるに止まります。法改正が必要ない範囲で、精一杯の対応をしました。」と答えました。


そこで、私は、「不勉強なので、教えていただきたい。その論旨であれば、現在政府が提出している労働者派遣法の改正案には、(2)の内容が法定化されていて、(2)が含まれていない労働者派遣契約は民事法上無効になるという理解で良いですね。」

「また、従来から、私は「労働者派遣契約は、全くの民間同士の契約という性質の契約ではなく、労働力を商品とする契約なので、それには、労働法に基づく行政的な関与が必要である」と主張して参りましたが、それについて、厚生労働省は、「法律がないので、行政的な関与はできません」と回答してきました。」

「それでは、政府の派遣法改正案には、民事的な「あっせん」などの手続きが法定されているのですね。」

と質問しました。


そうすると、厚生労働省は、「ともに法定化されていません」と回答しました。理由を尋ねたところ、「政府案は、100年に一度といわれるリーマンショック以来の金融不安の前に立案された法案です。おっしゃる点については想定外の内容だったので、規定していません。その点については、法案の審議の時に修正していただくしかありません。」と平然と答えました。

私たちは、あきれました。政府として、ここまで開き直るのは異常です。本来ならば、現状で欠陥があると分かったならば、法案を一度取り下げ、修正して出し直すしかありません。


これで、政府が提出した派遣法の改正案については、この国会でも審議されないことがほぼ決定的になりました。全く、情けないことです。



参議院議員 中村てつじ
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