母子加算復活法案 参議院厚労委 可決


今日(2009/06/25)、生活保護母子加算復活法案が、参議院厚生労働委員会で可決されました。この法案は、私が筆頭発議者となって、参議院に提出した法案でした。

今日の報道ステーションでも報道されていたので、ご覧になった方も多いかも知れません。


今、子どもの貧困が社会問題になっています。

貧困に直面する子どもは、子どものうちに生活習慣や教育・教養を身につけ、同時に、栄養を取り健康な体を作る必要があります。さもなければ、貧困は世代を超えて再生産されてしまいます。

政治は、子どもが貧困から抜け出せるような基礎的な条件を整えるため、積極的な関与をしなければなりません。


そもそも、貧困問題は、「かわいそう」という問題でも、「自己責任からすると努力不足だ」という問題でもありません。

貧困は、放置しておけば、社会的なコストを増大させ、社会不安につながる、社会全体に突きつけられた問題です。

それゆえ、日本国憲法でも、ナショナルミニマムとして、第25条1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と生存権の規定が定められています。


生活保護世帯の中でも、母子家庭・父子家庭という、ひとり親世帯は、ひとり親ゆえの生活の困難さを負っています。

母子加算制度は、ひとり親世帯が抱える特別な需要について、「マイナスを埋める制度」として機能してきました。


しかし、この母子加算について、政府は、平成17年度から段階的に廃止をして参りました。その根拠は、平成16年の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」の記述ということでした。

しかし、私たち民主党が、専門委員会の委員にヒアリングをしたところ、報告書は母子加算を単純に廃止するという趣旨ではなかったという証言を得ました。

また、ナショナルミニマムを切り下げるには、生活実態を的確に捉えた調査に基づく必要がありますが、厚生労働省が用いた全国消費実態調査の特別調査は、母一人子一人の消費よりも、母一人子二人の消費の方が少ないといった、常識からすれば考えられない調査結果になっています。

ちなみに、調査のサンプル数については、厚生労働省も、「統計的に有意なものであるかどうか確認できない」と認めるに至りました。


専門委員会報告書によれば、母子加算の見直しをするのであれば、見直しの前提条件として、ひとり親世帯それぞれが抱える特別な事情に対応した、個別具体的な福祉政策を用意する必要があります。しかし、現実には、極めて不十分な政策しか用意されず、母子加算を廃止できる前提条件は満たされていないと言わざるをえません。


私たちが、この数年間、法案化を行えなかったのは、生活保護法の規定により、生活保護基準は厚生労働省の告知により定められ、法律で母子加算の復活を規定する規定ぶりがなかなか考えられなかったからでした。

この点については、民主党山井和則(やまのい・かずのり)衆議院議員衆議院法制局と何度も議論を重ね、法制的にも附則の改正により規定が可能であると発見したことにより、解決を見るに至りました。


また、当初、衆議院で同趣旨の法案を提出していたのは、この問題を与野党の対決の構造に置くのではなく、超党派で合意をして成立させるべき法案だと考えたからでした。

しかし、与党には、衆議院での審議に応じていただけませんでした。そこで、参議院で審議をさせていただけば、審議の過程で与党の皆様のご理解もいただけるようになるのでなないかと考え、参議院にあらためて本法案を提出させていただきました。


ただ、今日の審議では、与党が審議を拒否しました。委員会の冒頭で、全ての与党議員が退席をしました。与党の審議拒否の理由は、「野党の事前説明が足りない」ということでした。そうであるならば、きちんと委員会で質問をすればいいはずです。

政府与党が選択した政策転換で、大きな影響が出ている問題についての審議だっただけに、与党には委員会に出てきていただきたかったです。非常に残念です。


参議院議員 中村てつじ
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