住宅を扱う不動産業の未来


◇ 業態の転換を考える後援会幹部

私の後援会の幹部に、住宅を扱う不動産業を行っている方がいらっしゃいます。今、私は、奈良県2区「滝まこと」の衆議院選挙の準備をしているのですが、今日も民主党マニフェスト配りをボランティアとして一緒にしてくれていました。

その後、ファミレスでモーニングをご一緒している時に、去年以降の不景気で、新築の物件の買い手がなく、業態の転換も考えているというお話をされていました。


日本の住宅市場は、新築中心で来ました。しかし、若者の収入が減り、また、既存物件が5400万戸、世帯数が4700万世帯と、700万戸も住宅が余っている現状では、既存物件をどのように流通させるのかということが、課題になっています。

今日も地元の街を歩いていて、古い「ニュータウン」の空家の話を聞かせていただきました。

中古住宅市場の整備は、日本の国益上、喫緊の課題です。


◇ 両手取引の原則禁止は不動産業の発展のため

私が提案し、民主党マニフェストのベースとなる政策集インデックス2009に載せることになった「両手取引の原則禁止」が不動産業界の一部で話題になっています。
http://fudou3.jugem.cc/?eid=6778


(参考)民主党政策集INDEX2009
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/18.html#%E5%AE%89%E5%BF%83%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%81%A7%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E8%B3%83%E8%B2%B8%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%82%92%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%8C%96

「一つの業者が売り手と買い手の両方から手数料を取る両手取引を原則禁止とします。」


この政策については、「民主党は、不動産業界を目の敵にしている」という間違った論調もあります。私に言わせれば、「物件の囲い込みをして自分の儲けしか考えていない業者」の主張にすぎません。批判をブログで書かれている記事も、論理的な論証をされているものは見られません。

中小の不動産業者の多くにとって、物件の囲い込みの温床となる両手取引が、宅地建物取引業法上、原則禁止と規定されることになれば、物件情報の流通が促進されることになり、明らかにプラスになります。


日本の未来のためには、住宅を扱う不動産業が、より発展してもらわなくてはなりません。以前から申していることですが、政治の役割は、「市場を作ること」と「市場で解決できないことを解決すること」の2つ。このテーマでは、「市場を作る」という政治の役割が大きいということを政治家は自覚する必要があります。


◇ 構造的な問題は仲介手数料の料率の問題

住宅を扱う不動産業の構造的な問題として、仲介手数料の料率の問題があります。仲介手数料の上限は、


物件の値段
〜200万円 5%
200万円〜400万円 4%
400万円〜 3%


となっています。不動産価格で400万円以下の物件はほとんどないので、手数料は、簡易計算で、3%+6万円が上限となっています。


(参考)
http://www.flat-30.com/
http://www.lead-yokohama.co.jp/teigaku/kitei.html


「上限」なので、それ以下の手数料にするのもできるのですが、例えば地方の住宅では、1000万円の物件では、上限の仲介手数料は36万円になります。年間仲介件数が少ない地方では、年間10件仲介できても、手数料総額は360万円。経費を差し引くと、これでは暮らしていけません。


不動産取引が活発、かつ、一物件当たりの価格も高い首都圏などではこの料金体系でも商売ができる、むしろ、フラット30などという定額の料金設定も可能です。しかし、地方では難しい。


結局、「上限」が低すぎるので、あの手この手を使って、それ以外の費用を徴収しようということになるのです。「両手取引」が横行するのも、その一環です。


これは、民主党の考えではなく、私の個人的な見解ですが、例えば、仲介手数料の料率の上限を、


物件の値段
〜1000万円 5%
1000万円〜1500万円 4%
1500万円〜2000万円 3%
2000万円〜2500万円 2%
2500万円〜 1%
とする。


そうすると、仲介手数料の「実額」の「上限」は、


物件の価格 手数料
1000万円 36万円 → 50万円
2000万円 66万円 → 85万円
3000万円 96万円 → 100万円
4000万円 126万円 → 110万円
5000万円 156万円 → 120万円
1億円 306万円 → 170万円
となります。


このように「仲介手数料」の上限を、現在の経済水準に合わせることで、「両手取引の原則禁止」を実現する基本的な条件が整います。(もちろん、ここに上げた料率は、一つの例であり、経済水準に合わせた現実的な水準にすることが必要だということです。)


◇ 住宅を扱う不動産業の21世紀的役割はリフォームのコンサル

住宅を扱う不動産業は、この世紀に、どのような社会的役割を負うのでしょうか。


増えていく空家。
唯一の「資産」である住宅を活かせないお年寄り。
新築を買えない子育て世代。


「この世紀に、住宅を扱う不動産業者が夢を持って働けるのは、どのような業態に変わることか」ということを起点にして考えてみます。


消費者が感謝する家。
→ 安くて、質が良い家。


既存物件 = 質は良くない
∴ リフォームの相談(コンサルテーション)ができることが必要
= どれだけリフォームをすれば、どれだけ市場価格が上がるのかを目利きする。


不動産業者の役割:消費者・金融機関・工務店(住宅の管理を担当)の3者を繋ぐ役割


住宅投資は、年間19兆円。しかし、20年間で、上物価値はゼロ。
国富が毎年、19兆円ずつ毀損されているのと同じです。


これを解決できるのは、唯一、住宅を扱う不動産業者です。


私は、不動産業を行っている方たちに、国民のために国益を支えているという仕事をしているという自負と誇りを持っていただきたい。


私たち政治家には、そのための環境を整備する責任がある。
少なくとも、私は、その思いで、これからも住宅政策に関わって参ります。



参議院議員 中村てつじ
メール 御意見を賜りますよう、お願いいたします。
m@tezj.jp