中小の不動産業者の発展が日本経済を救う

(記2009/09/15)


私が唱える政策「両手取引の原則禁止」が、民主党の政策集2009に入ったことで、今回の衆議院選挙で、不動産業界が過剰反応をしました。背景には、不動産業者が、各都道府県の「宅地建物取引業協会」に入ると、宅建政治連盟に入ることになり、宅建政治連盟に入る会員は、同時に自民党宅建支部に入るという構造があります。


おそらく、自民党政権を支える官僚組織が、宅建政治連盟自民党宅建支部に「民主党政権になれば、不動産業はとんでもないことになる」と焚きつけたのでしょう。


「全く、情けない話だ」と同情しながら、衆議院選挙の選挙期間が始まるまで、私は粛々とコメントを出し、心ある不動産業者の方々には「ああ、そうか」と気づいていただけるように活動を続けてきました。


選挙後、少し落ち着いてきたということもあり、宅建業者の方が、事務所を訪れになりました。以下の文章は、その時、プレゼンに使ったレジュメです。

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2009年9月14日(月)


中小の不動産業者の発展が日本経済を救う


サラリーマンの資産形成の中心は「住宅」
サラリーマンが、一生かかって払う「負債」である「住宅ローン」
しかし、「資産」であるはずの住宅の建物部分は、20年で評価がゼロに。
住宅投資額は、年間19兆円 → 20年後、年間19兆円の国富が消えていることに。
= 資産デフレの構造的原因
「価値の落ちない住宅」ができれば、消えた国富の部分が他の消費に。→ 内需拡大


つなぐ中核は「不動産業者」
消費者(サラリーマン)←→ 不動産業者 ←→ 工務店・金融機関


従来の商習慣を見直される住宅販売業界
従来の住宅販売:新築中心
∵ 高度成長期、足りない住宅地


大規模の宅地開発 → 宅地と建物のセット販売
建売の場合:管理主体である工務店が不在のケース(*)
注文住宅の場合:大手のハウスメーカー → 囲い込み?
中小の工務店 → 管理主体である工務店不在のケース(*)


市況の変化
経済のグローバル化 → 若年世代の収入減 → 住宅購買力の低下
増えてくる空家(5年間で97万戸増え、756万戸。空家率は13.1%で過去最高)
(平成20年 住宅・土地統計調査:総住宅戸数5759万戸・総世帯数4999万戸)
資産活用の視点:活用すべき「既存物件」
中古住宅の増加


中古住宅の問題点
隠れた瑕疵
管理している工務店の不在 → 中古住宅は、安いが不安。(消費者心理)


→ 第三者性確保のためのホームインスペクション(住宅検査)
= インスペクションは、代替手段にしか過ぎない。


管理を担当している工務店があれば、インスペクションは不要に。
不動産業者に必要とされるのは、工務部門(営繕部門)or インスペクション部門
(外注も可)


毎年のように行われる住宅政策の改訂
2006年 住生活基本法
2009年 瑕疵担保責任履行法施行、長期優良住宅普及促進法施行、改正省エネ法施行
数から質へ。立て替え重視からストック重視へ。
国策としては「長期優良住宅」を一つの基準として、優良住宅をストック化→活用
中古住宅をいかに安心・安全に市場に流通させるか > 不動産業者のみ可能。


金融機関へのプレゼン
工務が分かる(目利きができる)不動産業者
「どれくらいリフォームすれば、どれくらい価値が上がるのか」実例を内部に蓄積

リフォームローン(物件価値に着目した、物的担保ローン)
ノン・リコースローン
→ 不動産業者からの提案があって初めて可能。(時価の分からない金融機関では無理。)


お年寄りの「資産所得」のお手伝い
リバースモーゲージ」の前提:上物を含めた中古住宅の市場価格が客観的に決まること
(土地価格のみでは損をするイメージがあり、持ち主はリバースモーゲージを利用しない)
貸しても返ってくる「定期借家制度」の普及促進
(移住・すみかえ支援機構を利用すれば、家賃保証も行える。)


環境問題・健康問題への対応
最大のCO2排出は、住宅建築時。立て替えを抑制することで、CO2削減。
お年寄りの健康被害 ∵ ヒートショック
→ 断熱改修の必要性


求められる「リフォーム履歴の可視化」
IT革命(ICT革命)
デジタルカメラ、カラーレーザープリンター、CD−R → 記録作成の低廉化
ホームインスペクションでチェックされる箇所を工事の際に撮影 → 営業の際にプレゼン
「目で見て分かる」→ 安心して買える → 資産価値が高まる

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宅建業協会では、中村先生を呼んでの勉強会を提案しても、みんなから総スカンなのですよ。」とおっしゃる。

「それはそうです。気づいていない人には、気づいている人のことは分かりません。気づいた人から、先行して、消費者から必要とされているビジネスをはじめればいいのです。私は、気づいている人たちのために、情報提供をしますし、何かハードルがあれば、現場の意見を伺って、政策的に解決します。」と申し上げました。


9月16日に新政権が発足し、私はおそらく政権に入らず、党に残ることになろうかと思います。その際には、時間はとれると思うので、上のレジュメに興味を持たれた全国各地の不動産業者の有志の方は、私の事務所までご連絡ください。各地に赴き、意見交換をさせていただきます。


参議院議員 中村てつじ
国会事務所 電話番号
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メール 御意見を賜りますよう、お願いいたします。
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