住宅リフォーム瑕疵保険(かしほけん)


政権交代をした後の住宅政策としては「住宅版エコポイント」が有名である。しかし、もう一つ重要なものがある。「住宅リフォーム瑕疵保険(かしほけん)」。この保険は、悪徳リフォームを撲滅する目的もあるが、それよりも一段進んで建物の評価を客観的にするという目的がある。

リフォーム会社・工務店の中には「うちは良い工事をしているので、欠陥住宅であるはずでない。保険は保険料の分だけ高くなるので、もったいない。」というところもあるだろう。しかし、問題はどのリフォーム会社・工務店も「うちは良い工事をしている」と言うことである。保険の良いところは、「第三者性」の確保である。


住生活基本法が施行され、自民党政権下からでも、だんだんと住宅の建物の質を担保する法制に変わってきた。新築の住宅については「瑕疵担保責任履行法(かしたんぽせきにんりこうほう)」という法律が施行された。

2000年から新築の住宅では10年間の瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)が課せられ、10年間の間に欠陥が見つかったら、供給業者の方で修繕をしなければならなくなっていたのだが、いわゆる2005年の姉歯事件で状況が変わった。マンションデベロッパーが破綻し、必要な建て直しの費用が供給業者から出なかったため、社会的な問題となった。そこで、各供給業者が負っている瑕疵担保責任について、その業者が破綻した等の場合に備えて保険制度が整備されたのである。

しかし、2009年には、新築着工戸数が80万戸まで落ちた故に、新築の瑕疵担保保険の第三者検査員が余ってしまった。政権交代後、その第三者検査員の知見を既存住宅にまで活用できないかという発想を前原国交大臣・馬淵国交副大臣が持つようになった。そこで、昨年4月から「リフォームかし保険」という制度が始まったのである。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/03-consumer-files/02-reform-insurrance.html


国土交通省 住宅局 住宅生産課 「住まいの安心総合支援サイト」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/index.html


既存住宅の問題は、工事の施工の質を見られないという点にあった。この「リフォームかし保険」を使うと、欠陥があれば保険金が使われることになる。保険金が使われた場合には欠陥が補正されたということになる。保険金が使われなかった場合には欠陥がなかったということになる。

いずれにしても工事の施工の質を第三者性により確保できることになる。

またリフォーム業者にとっては、保険金を使わない状態が続けば、当然保険会社から保険料を値引きしてもらえることになる。この辺りのことは、自動車損害賠償保険で無事故であればどんどん毎年の保険料が安くなっていくことを見れば分かって頂けるだろう。


現時点の問題は、消費者がほとんど「リフォームかし保険」について知らないということであろう。このページから、「リフォームかし保険」に入っている業者を検索することができる。
http://search-kashihoken.jp/

第三者性により質の確保された住宅は、次には、「適正な既存住宅価格の形成」(不動産業)→「適正な担保価値による住宅金融の融資」(銀行業)という形で住宅市場が整備される流れになっていく。

リフォームを検討されている消費者の方は、「リフォームかし保険」に入っている業者から選ぶということを検討してみてはいかがだろうか。