東電の賠償スキーム決まる


東京電力の賠償スキームについて、ほぼ方向性が決まりました。決着は20時。
ツイッターで連続ツイートしたので、このブログでまとめておきます。

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東電の賠償スキームが決まった。民主党原発事故影響対策PTは今日で5回目。16時30分〜17時20分の第1ラウンドでは役員一任が取り付けられず、その後の関係閣僚会議でも決定できなかった。しかし18時45分〜の第2ラウンドで決着した。私の立場でも納得できる案になった。

東電の現状では新株や社債の発行ができず資金繰りに困る。このままでは仮払いもできない。破綻処理をすれば、損害賠償債権・労働債権・協力会社への支払債権が止まってしまう。そこで生かし続けるスキームを選択することになった。但し生かし方に幅を持たせるしくみになったことがポイント。

東電の資金繰りは新設される公的法人「機構」が担う。東電に援助=「資金交付・資本注入等」を行う。資金交付を貸付で行うと直ちに債務超過になりそうである。「債務超過にはさせない」旨の一文があったので、基本的には優先株発行による資本注入になろう。そうすると国が大株主になる。

また機構による援助の際には、第三者委員会による経営のチェックがなされることになる。つまり東電は国による公的管理になると言える。株主責任は、莫大な額の援助(資金調達・資本注入等)の返済に相当する「特別負担金」の支払い次第で、後年決まることになるだろう。

但しこの「機構」スキームでは将来的に株主責任を問う可能性はあっても債権者責任を問うことは難しい。原発災害の損害賠償債権が他の債権に優先していないため。同様のことは福島原発の事故処理に当たっている協力会社に対する支払債権にも言える。

国から機構への援助は「交付国債」によってなされる。交付国債のメリットは償還の際まで国の「支出」(歳出)とならないこと。財政に対する負担も交付国債金利分のみとなり全体として軽減される。

私個人としては、なぜ現在も東電が公開(上場)されているのか不思議だが、現実には今も上場されている。政府は株価も考慮したのかもしれない。ただ私の印象では今後じわじわと株主責任を問われる状況になっていく。あくまでも私個人の考えだから投資は皆さんの個人の責任で行って欲しい。

今回の決定スキームは現時点で論者によって評価が分かれる。私が納得しているのは東電の資産処分で送電・発電分離も可能になると考えるので。実質的には国有化スキームと評価している。

東電は将来的に100%減資にもなりうる。私は100%減資は避けられないのではないかと考えている。ただ本当にそうなるかどうかは今後の展開次第になる。損害額がいくらになるのかが確定しなければ現時点では何とも言えない。

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