大学生インターンシップ受け入れ 学生への教育


昨日(2012年7月15日(日))午前は、ドットJPの大学生インターンシップから来た学生の面接でした。私は、学生が長期休暇になる春と夏にインターンシップの受け入れをしています。親御さんが紹介するなどして直接応募をする人もいます。ただ全く繋がりのない学生さん達は応募しにくいので、仲介機関であるNPO「ドットJP」からの受け入れもしています。

今日の日経新聞の一面を見ると「働けない若者の危機」という特集記事がありました。いつの時代も「若者が悪い」という論調がありますが、本当の問題は若者に仕事の場を与えず、また、若者を教育できない私たち大人の側にあります。

昨日の面接で来られた学生さん達の意見を聞いても、「私たちの世代は不安で自信がありません」という言葉が最初に出てきて、こちらもぐっと来てしまいました。


今の若者が置かれている状況というのは、今まで日本の大人が経験したことのない過酷な状況です。しかし、それも「今の置かれている状況というものがどういうものであるか」が分かり、「その状況に対応するために何をすればいいのか」ということを分かれば、若者には希望がもたらされます。

そのことを私たち大人側ができていないことを反省すべきだというのが、私の立場です。


◇ 「原因と結果」「目的と手段」の法則

私が最初に話するのは、「原因と結果」「目的と手段」の法則です。

「今」から「過去」を振り返る時、今の現状・結果をもたらしているのは、過去に必ず原因がある。必ず因果関係があるので、その原因を振り返る。これは、「反省」。

反省と「後悔」は違う。反省は未来への行為、後悔は過去へのこだわり。過去に囚われると未来が見えなくなる。過去は変えられないけれども、未来は変えられる。


それでは、未来を変えるためには、何をすべきなのか。


物事には、何でも「目的」がある。未来に目的を達成するためには、今取る行動は全て「手段」でなければならない。原因と結果の法則から導かれた過去の反省は、未来の目的に照らして今自分が取るべきことが手段として適切なのかということを考える。

検証をして、「これが手段として正しい」と考えて行動する。そして、その結果が目的に適うものであったのかを、事後に検証する。


これの繰り返しにより、自分の生産性は確実に向上していく。
このようなことを、まず学生さん達に伝えています。


◇「なぜだろう」と考える・疑問を抱える気持ち悪さに耐える心の強さを持つ

次に必要なことは、常に「今やっていることはは目的にかなっているだろうか」「なぜ今のような結果になっているだろうか」という疑問を持ち続けるということです。


養老孟司の「バカの壁」にも書いてある通り、人間というのは自分の頭にある概念以外のものは頭に入ってこないという脳の構造になっている。

バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)

つまり「なぜだろう」と考えない限り、知識は(有機的につながった形では)頭に入ってこない。

(ここで「有機的につながった形では」と但書をつけているのは、知識というのは有機的につながった形であれば応用が利きますが、断片的な知識では変化に対応できるようにはならないということが理由です。)


しかし、この姿勢には、デメリットもある。

それは、「なぜだろう」と疑問を放っておくことには、解決できない疑問を抱える気持ち悪さに耐える心の強さが必要だから。

しかし、「なぜだろう」と思ってそのまま疑問を持った状態でキープしておくができれば、複数の「なぜだろう」が一つ疑問が解決することで、連鎖的に解決することが出てくる。ゲームの「ぷよぷよ」や「テトリス」の「連鎖」で消えて行く感覚に似ていると言えば分かってもらえるかもしれない。

この心の強さは、このような経験をすれば疑問を抱える気持ち悪さに耐えられるようになり、自然に身についていく。


以上のようなことを2番目に伝えています。


◇ 情報通信革命の時代に生きている

ここからが本題に入ります。

私たちの時代は、農業革命、産業革命に続く、人類第3の経済革命である「情報通信革命」の時代です。

情報通信革命の時代は、今の若者の世代の両親が若い頃に経験した「産業革命の最終版の時代」とは、全く産業構造が変わってきているという点に特徴があります。

特徴的な話として、このような例を挙げています。


「あるものが甲地点では99円で売られている。乙地点では100円で売られている。甲と乙では地理的に離れているので、それぞれの地域の人はそれぞれの値段で買っている。これが、乙地点の人が甲地点では99円で売っていることをしり、輸送コストなどが同じだったらどちらを買う?」

「それは、甲ですね。」

「そうですね。それでは、たった1円しか違いはありませんが、売り上げはどのようになるでしょうか。」

「甲の方が圧倒的に多くなるでしょう。」

「そうですね。情報通信革命の特徴は、わずかの差が大きな結果の差を生むということです。

今までは甲と乙と情報が分断されていたから、それぞれで商売が成り立ったのです。しかし、情報通信革命では、情報の偏在がなくなっていくという変化があります。

その結果、経済がグローバル化していくということになるのです。」


◇ 情報通信革命期には若者の仕事がなくなっていく

情報通信革命期には、より安いコストで作れる国でものが作られるようになるので、雇用はより人件費が低いところに流れます。

昔「舶来物」の服と言えば高級な服でしたが、いま私たちが着ている服はほとんど途上国で作られている「舶来物」です。つまり、経済のグローバル化により、昔日本でできていた親の仕事は全部中国などの途上国に移ってしまっているということです。

だから、私たち先進国の大人は、若い世代に対して新しい仕事を作り出していかなくてはなりません。


そのためには、若者も含めて、新しい仕事を作り出していく取り組み、そのうちでも特に起業が重要になってきます。


その際には、女性経営者が増えることが必要です。女性の社会的進出に比して、まだまだ日本は(カッコ付きの)「男性型社会」なので、女性経営者が増えていません。そういう女性経営者が活躍できるような社会的なしくみを作っていく必要があります。


◇ その他

この時点で160行を越えたので、まだまだインターンシップの学生に話している内容は続きますが、今日の記事ではこれぐらいにしておこうと思います。
ただ、さわりだけを以下に書いておきます。


「ギブアンドテイク」と「ギブアンドギブ」
ギブアンドテイクの姿勢で生きる人間と、ギブアンドギブの姿勢で生きる人間と。どちらがトクをするか。
自給800円の仕事をする時、800円分だけの仕事をしようとするA君と、900円分でも1000円分でも自分の能力を発揮して時給以上の仕事をするB君と、どちらがトクをするか。それはなぜか。
人間は「社会的生物」。助け合いなくして種の保存なし。
→ どのように生きることが他者から必要とされる人間になれるのか。


「世の中には2種類の人間しかいない」
安定を求める人間と
変化を求め安定を求める人間に安定を与える人間と。

安定した企業に就職したいか、変化の多い企業でもいいか。
変化に対応するためには、どのような考え方をすればいいのか。


見えない人からは見えている人は見えない。見えている人からは見えていない人はよく見える。

気づいていないいない人は気づいている人のことは分からない。
気づいている人は気づいていない人のことを良く分かる。
というのも同じ。

見えている人間・気づいている人間は少数。
孤独に耐えなければならない。


孤独な人間同士、集まる必要がある。
そういう機会を作っていく必要がある。


中村事務所が大学生インターンシップを受け入れている理由
中村が大学生の時に「国会議員の事務所に、こういう受け入れをしてもらえたら」と思っていたことをするため。
一言で言えば社会貢献。(中村事務所とすれば短期的にはメリットがあることではない。)
そのため、面接も中村事務所の考え方を中村から伝えること(=学生が来るかどうかを決める材料を与えるため)が目的と考えていて、学生を面接で落とすということは基本的に行っていない。


インターンシップ後の関わり
中村事務所のインターンシップはドットJP以外のルートでも受け入れていて、ドットJPのインターンシップ後もインターンとして来ていただくことは可能。
特に夏のインターンシップは春とは違うものになるので、来春も何らかの形でわずかでも参加していただくことを推奨している。


過去のインターンシップ経験者の有志でOB(OG)会を組織中。
過去、メガバンク・日銀等の金融機関、省庁、マスコミ等、さまざまなところに就職をしている。都合がつく社会人となったインターン経験者と交流ができるような機会を企画中。