本の紹介> 孫崎享「戦後史の正体」


孫崎享(まござき・うける)先生が新しい本をお書きになり、本日発売されました。「戦後史の正体」という本です。

本書の冒頭「はじめに」は、「いま、あなたが手にとってくださったこの本は、かなり変わった本かもしれません。というのも本書は、これまでほとんど語られることのなかった「米国からの圧力」を軸に、日本の戦後史を読み解いたものだからです。こういう視点から書かれた本は、いままでありませんでしたし、おそらくこれからもないでしょう。「米国の意向」について論じることは、日本の言論界ではタブーだからです。」という文章から始まります。

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)


私は、2年前の自分の誕生日に「[属国日本]対米隷属・経常黒字・経済界・マスコミの相関関係」というブログ記事を書きました。その内容は、2年経った今なお通じることです。むしろ関係は強固になっているのではないかとさえ思います。
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20100724


奇しくも本書が発売された本日も自分の誕生日です。民主党を離党して、新党を結党し、いま活動をしているときに、孫崎先生のこういう本が発売されるという、時代の流れというか、縁みたいなものを感じます。


以下書くことは、本書の内容とは直接に関係していない、私がいま感じている雑ぱくな感想だと思って下さい。以後、根拠となる事実を積み上げていく必要があるかな、と思っています。


先日御紹介した岩本沙弓さんの「最後のバブルがやってくる」第4章は「イランの核疑惑と原油のドル表示問題」というテーマでした。

米国通貨ドルが、原油の取引通貨になっていることで、ドルの信認が高まっているという構造が書かれています。イラク戦争も、イラク原油の取引通貨をドルからユーロに変えたことが本質的な原因だったのではないかと分析されています。


今の日本政府の動きを振り返ると、不思議なくらい、すべてのものが繋がっているのではないかと思います。消費増税の強行、原発の再稼働、TPP参加方針、オスプレイ配備

すべてのものが、ドルの信認と繋がっているのではないかと感じています。この部分を論理的に読み解いていかなくてはなりません。


例えば、原発が日本からなくなるためには、日本人が「原発をなくして、再生可能エネルギーで全てまかなおう」とチャレンジすることが必要です。

私は、日本は財政危機でもなんでもないのだから、10年なり15年なりの期限を区切って、大胆に財政出動をして再生可能エネルギーの普及に力を入れ、エネルギーの自給国を目指していけば良いのではないかと思います。

そうすると、日本の弱点(世界から輸入をしなくてはならない)であるエネルギー問題が解決するので、日本は、国の運営が大変楽になります。

自由貿易のルールからすると、こういう世界に先駆けた製品は、他の国よりも早く開発・生産しなくてはなりません。それを現状でできる資本力と技術力を持っているのは、日本しかありません。


しかし、日本がエネルギーの自給を実現できるようになると、世界経済の構造が大きく変わります。日本モデルは、世界での普遍的なモデルとなるので、世界中で導入されていくことになるでしょう。通貨についても円貨は更に強くなり、ドルに替わって国際基軸通貨のようになるかもしれません。

その時には、通貨の信認の背景にあるのは、軍事力ではなく、広い意味でのソフトパワーになるのかもしれません。


そうすると、「果たしてアメリカは、日本が独自にそのような方向に行くのを望むだろうか」という疑問が湧いてきます。


消費税増税の背景にある考え方は、「日本は財政危機にある。だから、早期に増税をしなくてはならない」という考え方です。もし、日本が財政危機にないとなれば、欧米に先駆けて国力を次代が必要とするプロダクツの開発に向けかねません。

「日本は欧米の購買力がなければ加工貿易立国を維持できず、エネルギーが輸入できない」という考え方の呪縛もあります。「もし、エネルギーの自給ができるようになれば」という考え方を日本人が持つことができれば、原発の必要性についての感覚も変わるかも知れません。


毎週金曜日に官邸を囲む人の波は、ますます大きくなっています。ネットでは官邸と主催者側が裏で取引をするのではないかと噂されていますが、万が一そんなことが起こったとしても、直感的に気づき始めた日本の人たちの行動を止めることはできません。


次の国政選挙は、日本に生きる私たちが、「どのような国をこれから作っていくのか」を次の時代の人たちのために選択する大きな機会になるでしょう。

私も、奈良ではたった一人からの再出発となりました。「消費税増税」「原発再稼働」の裏側にあるものを見据えながら、「地元で訴えていこう」という決意を新たにしました。