『財務省の罠』期限付きで赤字国債を自動発行する財務省の意図

財務省の罠』第九章(追加)の予定原稿
(2012/11/12記)


前項まで書いた直後の(11月9日のブログで「なぜ赤字国債を発行するのに特例公債法が必要なのか」という記事を書いた直後の
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20121109
11月11日、朝日新聞の記事で、「時限措置の期間を2015年度ないし20年度まで」に限って、赤字国債を自動発行する法案が検討されていると報道されました。(「平成25年度ないし30年度まで」が正しく、本文はミスプリではないかと思うのですが原文がそうなっているので。ミスプリでなければ2013年度と2014年度はどうするのでしょうね。)

(2012/11/13追記 現時点での報道では「民自公3党の政調会長は12日に会談。民主党細野豪志政調会長は特例公債法案について(1)今年度予算の減額補正を実施(2)安定的な財政運営確保のため2015年度までの4年間は赤字国債の自動発行を認める、との法案修正を提案した。」とあります。http://digital.asahi.com/articles/TKY201211120566.html 原文は「今から」2015年度ないし20年度までに限ってという意味だったようです。)


朝日新聞デジタル 2012年11月11日03時00分
http://digital.asahi.com/articles/TKY201211100799.html

民自、赤字国債の自動発行検討 予算案と一体処理

 民主、自民両党は赤字国債を発行する特例公債法案と一般会計予算案を一体処理するルール作りに入った。予算案が成立すれば自動的に赤字国債発行を可能とする時限的な措置。自民党はルール作りでの合意を前提に、特例公債法案に賛成する方針を固めた。

 赤字国債発行には予算案と同様に毎年、特例公債法成立が必要だ。野田佳彦首相は10日、福岡市内での民主党の政策進捗(しんちょく)報告会に参加し、同法案について「どの政権であっても赤字国債を発行しないと財政運営できない。予算と一緒に処理するルール作りを含め、今国会中に結論を出していただきたい」と強調した。

 民自両党はすでに実務者で調整に着手。時限措置の期間を2015年度ないし20年度までとし、この間は特例公債法案が成立しなくても予算案の成立と同時に赤字国債発行を可能とするよう現在、審議中の特例公債法案を修正する形で盛り込む案が有力だ。

 次の衆院選で政権復帰を目指す自民党も「一体で処理することが望ましい」(石破茂幹事長)と前向きで、12日にも公明党も加えた3党で協議する。こうした動きを踏まえ、自民党安倍晋三総裁は特例公債法案に賛成する方針を固め、参院幹部に指示した。

 一方、首相は10日、福岡市内で記者団に、環太平洋経済連携協定(TPP)について「マニフェスト政権公約)に書くことになる。(総選挙の)対立軸になるかは分からないが、我々の考えを示す必要はある」と強調。TPPの推進方針を党の公約に明記する考えを表明した。

 また、民主党安住淳幹事長代行は同日、衆院選での候補者擁立について「来週、再来週の時点で、相当前倒しで選挙区を埋めたい」と記者団に語り、約70小選挙区の空白区で候補者擁立を早急に進める方針を明らかにした。


本来ならば、正面から財政法4条の規定が、現代の財政の機能から適切なのかどうかという議論をしなくてはならないはずです。

しかし、それをすると、不換通貨でかつ通貨が強い日本の場合にはいくらでも自国の国債は発行できることがばれてしまい、消費税増税を強行した理由がなくなってしまいます。

消費税増税を推進してきた財務省にとっては、そのことがばれてしまうのだけは避けたい。だから、財政法本体の規定は改正せず、期限付きの改正という手段を採るということなのでしょう。

平成30年度(2020年度?)(訂正2012/11/13)2015年度になれば、消費税増税のことはある程度落ち着いているでしょうから、その頃に恒久的な措置にするようなことが検討されるのでしょう。(←この部分の既述は、これから内容が確定する話なので、ブログではこのままにしておきます。)

全くもって、やり方が姑息かつ卑怯です。堂々と正面から議論すべきです。