国債の値段が上がったり下がったりって?

さとり世代のさと子ちゃんが、経済の基礎の基礎から質問して、だんだんと日本経済のしくみを分かっていく、そんな会話シリーズを書いてみようと思った第2弾です。答えるのは、引き続き団塊ジュニア世代のてつ夫です。調子に乗って続きです。(^_^)/

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第2回「国債の値段が上がったり下がったりって?」

さと子:なるほど〜国債はチケットなのね。 でも、あいかわらず、それと国債の値段が「上がったり、下がったり」はどう関係してるん? やっぱりよく分からんわ〜

てつ夫:さと子ちゃん、さっきの僕に1万円を貸してもらった例でまた考えてみよか。あの1万円は利子が5%で、1年後に返す期日が来るものだったよね。
これを田中くんに売るとき、田中くんは何と言うかな?

さと子:ユウナに、じゃないの??? まあ、ええか。
えっと、田中くんだったら、「あのてつ夫さんやろ。ちゃんと返してくれるか分からんやろ。さと子ちゃんは優しいから5%の利子でええけど、オレやったら10%の利子をもらわんとやってられへんわ」と言うのとちゃうかな〜
てつ夫:あの田中くんが、そんな鬼畜なことを言うわけないやろ。さと子ちゃん、あいかわらず、僕には厳しいなぁ。
まあ、ええわ。その10%でいこ。
さと子ちゃんに貸したのは1万円で1年後に5%の利子やから、合計10500円やったわけやな。これを10%の計算で行ったら、今のその借用書はいくらの価値を持ってる?

さと子:えっと、10500円が、10%の利子を含んでいるんやから…

10500円=「今の価値」×110%

という方程式を解けばいいんやね。だから、

「今の価値」=10500円÷110%

になるか。そうすると、10500÷110%=9545.45…円だから、
「今の価値」=約9545円ということになるかなぁ。
てつ夫:そう。9545円ということやったら、最初の1万円を比べて下がってる上がってる?

さと子:てつ夫さん、バカにしてる? 下がってるに決まってるやんか!

てつ夫:それやったら利子はどう? 5%から10%になったちゅうことは、利子は上がってる下がってる?

さと子:またバカにして! 上がってるに決まってるやない!

てつ夫:何か気づかへん?

さと子:何よ!

てつ夫:利子は?

さと子:上がってる。

てつ夫:借用書の「今の価値」は?

さと子:下がってる。

てつ夫:だったら、利子がどうなったら、債券の値段はどうなった?

さと子:えっ、、、えっと、利子は上がってる。借用書の今の価値が債券の値段やから、債券の値段も下がってる…
あっ、債券の利子が上がると債券の値段が下がるって、こういうことなんや!

てつ夫:だったら、例を変えて考えてみよか。10年後に元本を返してもらえる国債を考えてみよ。国債っちゅうんは、個人向けの特別なもん以外は固定金利なんや。
10年もんのちゅうたら、毎年毎年金利分だけ配当があって、最後の10年目に元本が返ってくるんや。

例えば、10年もんの国債を100万円分買ったとするな。額面の金利は1%やったとする。そうすると、1年後には100万円×1%=1万円の利子が配当で帰ってくるわけや。2年後も同じ1万円。3年後も1万円、4年後も1万円、5年後も1万円…、9年後までは、毎年1万円が金利の分になるわけや。
それで、最後の年、10年後には、100万円の元本と1万円の金利、合計101万円が返ってくるっちゅうことやな。

さと子:うん、それは分かったけど、それが何なん?

てつ夫:この国債を買った一年後、市場金利が2%になったとするわな。さと子ちゃんやったら、いくらで買う?

さと子:えっ、いきなり問題かいな。あと9年残っているわけやな、、、
本当は2%ずつ、これから毎年の利子分は2万円欲しいところやな。
でも、その国債の配当は毎年1万円しかないわけか。
そうすると、毎年毎年1万円ずつ、損をする計算になるなぁ。
あっ、そうか。
その分、差し引けばええわけやな。

てつ夫:さと子ちゃん、ナイスや。
ちょっと正確やないけど、残り9年分あるから、毎年1万円損する×9年=合計9万円損する、ちゅうわけや。
だから、100万円から9万円を引いて取り引きすればええっちゅうことになるわな。
つまり、100万円−9万円=91万円や。

ほな、ちょっとまとめてみよか。
金利は何%から何%になった?

さと子:1%から2%に上がった。

てつ夫:債券の値段はどうや?

さと子:100万円が91万円に下がった。

てつ夫:だったら、金利はどうなって、債券の値段はどうなった?
さと子金利が上がって、債券の値段が下がった…

てつ夫金利が上がると債券の値段は?

さと子:下がる。

てつ夫:じゃ、逆に金利が下がると?

さと子:上がるってことになるんやよね? ここはどう考えたええんかな〜

てつ夫:さっきの例で、逆に、10年もの国債金利が2%で、1年後に1%に市場の金利が下がった場合を考えたらええねん。
2%やから、毎年2万円ずつ配当があるわけや。でも、市場金利は1%に下がっているわけやから、本当なら1万円しかもらえんはず。

さと子:買った方はボロ儲けやな。

てつ夫:だったら、売る方は買う方にボロ儲けはささんわな。いくらやったら、売る方は売るやろうか。

さと子:さっきと逆やから、売る方としたら毎年1万円ずつ余分に欲しいっちゅうことになるわ。そうすると、9年分かけるから、1万円×9年分=9万円を追加して払わんと売ってもらえんかな。
だから、100万円+9万円=109万円になるわ。

てつ夫:そうすると、金利がどうなって、債券の値段はどうなる?

さと子金利が下がって、債券の値段は上がる!

てつ夫:分かった?

さと子:分かった〜!

(取りあえず、国債の値段の話はここまで。このシリーズは、質問をいただけばまだ書いていくことにします。)



追記【さと子の質問シリーズバックナンバー】
第1回・第2回「国債って何なん?」
(第1回「債券って何?」)
(第2回「国債の値段が上がったり下がったりって?」)
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140529
第3回「お金って何?」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140602
第4回「お金とは支払いの手段」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140603
第5回「銀行の銀行」日本銀行
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140606
第6回「銀行にとって預金は資産か借金か?」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140618
第7回「ふつうの銀行がお金を発行!?」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140619
第8回「資産と負債のバランス」(バランスシート)
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140621
第9回「銀行のバランスシート」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140622
第10回「銀行は手元にあるお金を貸すんじゃない」
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140719