「自民党の集団的自衛権とは 世界中どこにでも派遣」(再構築ビラ62号)

(2014/06/17「中村てつじメールニュース」バックナンバー)

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今月8日から配り始めている「日本再構築ビラ」です。
テーマは集団的自衛権です。その中身をお伝えします。

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自民党集団的自衛権とは
世界中どこにでも派遣
(再構築ビラ62号)

◇ 世界中どこにでも

5月15日、安倍総理直属「安保法制懇」が報告書を出しました。「安保法制懇」は、安全保障と憲法との関係について提言をする有識者会議です。報告書の内容にはびっくりしました。
世界中どこにでも自衛隊を派遣し、国連決議もなしに武力行使ができるようになります。「専守防衛」なんて言葉は吹っ飛んでどこかに行ってしまっていました。

報告書では、集団的自衛権を行使する場合として「我が国と密接な関係のある外国に対して武力攻撃が行われ、その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき」としています。
しかし、その事態であるかは時の政権が「総合的に判断すべき」としています。つまり、時の政権が「この事態は必要最小限度の実力を行使すべき時だ」と判断しさえすれば、自衛隊を世界中どこにでも派遣して、アメリカの戦争に参加することができるようになるわけです。
過去の例に照らせば、当然イラクへもアフガニスタンへも、アメリカから求められて多国籍軍の一員として正面から参加することになるでしょう。

憲法9条は完全に形骸化

報告書は43ページの大作。一見するとなかなかの出来映えです。しかしじっくり読んでいくと憲法9条が定めているはずの制約が一切書かれていません。9条の趣旨からすれば集団的自衛権を認めるにしても日本周辺で日本の安全が脅かされる場合に限定すべきです。
報告書では専守防衛という考え方に代わり、「日米同盟」による「抑止力」という考え方が基本になっています。この「抑止力」のためには、世界中どこにでも戦力を展開できなければなりません。集団的自衛権を行使する活動場所についても「地理的な限定を設けることは適切でない」と書かれています。

これでは、憲法9条は完全に形骸化します。憲法でさえ解釈で何とでも変えられるのだったら、一般の法律も解釈で何とでも変えられてしまいます。国会のチェック機能も効きません。
いつの間にか憲法による歯止めは効かなくなります。戦前の状況を繰り返してはなりません。今こそ、憲法は政権に縛りをかけるためのものだ、という立憲主義の原点を死守すべき時が来ています。

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【再告知】
トマ・ピケティ「21世紀の資本」は世界中でベストセラーになっているのに邦訳はみすず書房という小さな出版社が版権を持っているゆえに出版が遅くなる見込みです。
そこで6月29日(日)のオイコスの会では一足先に堀・岩本両先生が読み解きます。私も懇親会まで参加をいたしますので、ぜひ、おいで下さい。
http://oikos2013.blog.fc2.com/blog-entry-15.html

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