「あなたの年金がリスクにさらされる?」

(再構築ビラ63号:2014/07/06発行)

◇ 株価とアベノミクス

 「アベノミクス」を自称する安倍政権。株価は命です。いま、国民の皆さまの収入は上がっていないのに、消費税は増税、円安で輸入物価は上昇、正直なところ生活が良くなっているという実感はないのではないでしょうか。
ただ株価が上がれば株を持っているお金持ちの消費は増えます。報道でも景気が良くなっていると伝えられます。安倍政権としては、どうしても株価は維持したい。そこで持ち上がってきたのが「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革」です。
 GPIFって何?と思われるかもしれません。これは、皆さんがお支払いになった年金保険料を積立金として運用している機関です。日本の公的年金制度は、以前は積み立て方式でした。そのなごりで、3年半分の年金の支払いができるぐらい積立金を持っています。
 いま、GPIFが国内株式に投資するのは積立金の6%〜18%と定められています。現在は約17%ということなので上限に近づいています。
安倍政権は、その割合を増やして、もっと株式を買おうという方針を出しているわけです。6月24日に閣議決定された成長戦略では「今秋までに資産構成を見直し、株式投資の拡大を促す」とされています。

◇ リスクと投資

 一見よさそうに見えますが金融関係者からは「政府による公開株価操縦だ。日本は社会主義国家か?」という批判が出ています。
 GPIFは世界最大の年金運用機関であり、既に株式を21兆円、世界一保有しています。日本の株式市場の取引額は1日1〜2兆円程度。その10倍以上の株式をGPIFは持っているのでGPIFが株を売り買いすると相場が動きます。閣議決定の方針通り、仮に5%増やすと6兆円強の買い増しとなります。
株価を5千円ほど引き上げる効果があるとも言われています。しかし急に株価が下がった場合にGPIFが株式を売ろうとすると、持っている株式が多すぎて自ら株安を加速してしまいます。結局売れなく大損します。
 短期的には「アベノミクス」を演出しますが、中長期的にはあなたが受け取る年金をリスクにさらします。
あなたは、どちらがいいとお感じになるでしょうか。

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