「アベノミクスは失敗!」それは物価を上げるだけだった

(再構築ビラ65号:2014/09/07発行)

◇ 消費税増税の影響

 8月13日、政府は今年4〜6月期の経済統計を発表しました。実質的な経済成長率は1〜3月期と比べてマイナス1・7%、年率換算でマイナス6・8%でした。経済の6割を個人消費が占める我が国で、不況の時に消費税を増税することがどれだけひどい結果をもたらすのかハッキリとしてきました。
大多数の国民にまでは届かない「アベノミクス」。消費税増税の悪影響は、納税が始まる来年春からが本番です。安倍政権は、衆議院総選挙の時期を早めたいという衝動を抱えていることでしょう。
 アベノミクス最大の目玉は「異次元緩和」と呼ばれる金融緩和でした。日本銀行が一般の銀行に渡すお金の量を、黒田総裁が就任してから108兆円も増やしました。しかし新たに世の中に出回ったお金は42兆円でした。それも、ほとんどは国債の発行により生み出されたお金です。金融緩和により、世の中に出回るお金が増えたわけではありません。

◇ 収入は増えず物価は上昇

 雇用者の報酬も伸びていません。去年の同じ時期と比べると実質でマイナス2・2%です。国民が自由に使えるお金が増えないのだから、消費も伸びません。売上げが上がらないのだから設備投資も増えません。企業が借入れを増やそうとしても銀行も簡単には貸せません。
 反面、「異次元緩和」によって円が金融市場ではだぶつき、円安になりました。円安になると輸入するモノの値段は高くなります。収入は増えないのに、物価だけが上がる。こんなことを「アベノミクス」と呼んでいる異常さが、そろそろ国民の皆さまに伝わるのではないでしょうか?
 いま我が国がすべきことは、教育、子育て、医療、介護にお金を回し、安心のしくみを再構築することです。経済が成熟化すると国債の発行は全てが悪ではなく、世の中に出回るお金を増やす効果的な手段になることも知られるべきです。今こそ、国民の生活を第一に考える政治を実現しなければなりません。