集団安全保障と集団的自衛権〜「米国に頼らない自衛力をつける為には」


ツイッターで「日本に、米国に頼らない自衛力をつける為には、どうすればいいのだろう。」というつぶやきがあったので、「安全保障は自衛権が例外で集団安全保障が原則です。原則論を展開すればいいのです。」と応えました。

これに対して、さらに別の人から「自衛権は例外で集団安全保障が原則というのは?この辺をもう少し分かりやすく解説していただけないでしょうか。」とありましたので、応えましたが、なかなか140字の字数制限では答えきれませんでした。


そこで、少し詳し目にブログの記事にしました。

集団安全保障については、国連憲章第7章「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」(39条〜51条)に規定されています。
http://bit.ly/djsnQ3


まず41条と42条。特に42条「安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」

この条文が、国連による武力行使も含まれる集団安全保障を定めた条文になります。


次に51条「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」

この条文が、国連による集団安全保障の措置がとられるまでの間、各国が(個別的であれ集団的であれ)自衛権を行使できると定めた条文になります。


ちなみに、この国連憲章の条文に従って、日米安全保障条約でも規定されています。

日米安全保障条約日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)第5条「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
「前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。」

つまり、日米安全保障条約(いわゆる日米同盟)も、国連憲章の集団安全保障の枠内で機能しているに過ぎません。よく「国連中心主義(集団安全保障)か、日米同盟(自衛権行使)か」と言われますが、その問題の立て方自体がおかしいのです。


また、2006年に民主党が取りまとめた「政策マグナカルタでも、ハッキリとこのことについて整理がされています。http://bit.ly/9cLQ4V


「III. 平和を自ら創造する」

「7.自衛権の行使は専守防衛に限定」
日本国憲法の理念に基づき、日本及び世界の平和を確保するために積極的な役割を果たす。自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論の経緯に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9条に則り、行使する。それ以外では武力を行使しない。」

「8.国連平和活動への積極参加」
国連は二度に亘る大戦の反省に基づき創設された人類の大いなる財産であり、これを中心に世界の平和を築いていかなければならない。国連の平和活動は、国際社会における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権国家自衛権行使とは性格を異にしていることから、国連憲章第41条及び42条に拠るものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加する。」


鳩山総理が小沢代表時代に取りまとめた「政権マグナカルタ」を軽視していたとは思えませんので、もう少しこのような中長期的な視点から普天間問題を語っていれば、結論が同じであっても受け止められ方は変わったのではないかと思います。


m@tezj.jp