政策の政治的効果を伝えるメディアの不在


今、新幹線で上京するところ。ツイッターで今日の思いを伝えていたら、ブログ一本分ぐらいの記事になったので、まとめておきます。


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朝7時からは「連合奈良の日」街宣。初めと終わりに5分程度の演説を担当した。経済問題から雇用問題、労働者の権利を守るためには正規・非正規を越えて労働者が連帯しなければ労働環境は守れないと主張。連合運動はそのためにある。連合も変わった。非正規が一人で入れるユニオンも作った。


経済問題を演説している時に気がついた。民主党代表選挙が行われていて小沢・菅候補がそれぞれ政策を訴えているが、その言葉一つの意味をきちんと解説している「政治評論家」がいないということ。政治家が自分の政策を説明しすぎるのは脚本家がその狙いを説明するようなもの。そこで評論家が必要。


そこで私たちのような候補周辺の国会議員が解説をする必要が出てくる。まあ語りすぎると政治効果もなくなってしまうのだが。それでも候補者本人が説明し尽くすよりもいい。論理的に考えれば「そのオプションを採ればどういう可能性があるのか」という情報を国民の皆様に提供したい。


まず小沢候補が言っている為替介入10兆円から20兆円という言葉の意味。中塚代議士@ikkonakaのブログにもある通り米国債だけでなく資源を買うという方法がある。http://bit.ly/cl2LhI 裏にはその他の意味もある。残りのドルをどうするか。


為替介入で購入したドルを通貨のままで持っていても金利分だけ実質的に減価していく。そこで当たり前の話だが米国債を買うことになる。外為特会でどれだけの米国債を持っているのかは相場に影響があるので公開されていない。7割ぐらいか?とされている。


いずれにせよ10兆円の介入をし購入したドルで米国債を買うと今のレートでは1200億ドルぐらいになる。対ドルレートは金融専門家の見立てで今後70円ぐらいまで円高に進む可能性がある。そうすると1兆8000億円の損失が日本国に生じる。


つまり10兆円の介入というのは1兆8000億円程度の損失のリスクを日本政府が抱えた上でアメリカ合衆国の財政を1200億ドル分支えるということとほぼ同じ。これに対しては「それはおかしい。円安になれば売って儲けられるだろう」という批判が考えられる。


それならば何故に外為特会の資産が100兆円もあるのかという話になる。日本は純債権国である。そういう国が国民(自然人・法人)の決済のために外貨準備を用意しておく必要性はほとんどないと言って良い。外為特会は円安を維持するためにある。だから外為特会の資産は売れない。


一言「10兆円の介入をする」と言うことが「1兆8000億円程度の損失のリスクを日本政府が抱えた上でアメリカ合衆国の財政を1200億ドル分支える」という意味を含んでいることが分かれば、違う世界が見えてくる。対米では取引材料になるということ。


こういうことまで発言時に本人が解説をすると交渉材料にならない。だから一言言って様子を見る。そして市場に想像させる。米国には安全保障の議論を進める場合に取引材料に使える可能性も出てくると想像させる。…こういうことをマスコミには報じてもらいたい。


ただ日本のマスコミでは政治記者は「政局記者」であって「その政策がどのような政治的効果を持つのかを伝える記者」ではないことから、このような解説がマスコミに載らない。だから政治評論家に期待しているのだが、それも期待できないというのが現状。一人の日本人として情けないし悲しい。


「情けないし悲しい」と言ってみたところで現状が変わるわけではないので、一国会議員の影響力は小さいことを百も承知でつぶやいている。こういう活動を続ける中でネットを基盤にする政治評論家が出てきてくれれば既存メディアも変わってくるだろう。それまでは頑張りたいと思う。


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【追記】 外為特会の「行政事業レビューシート」です。
http://bit.ly/c8emYU
これを見て頂ければ、外為特会についての財務省の考え方とともに、小泉政権時、2003年米国のイラク戦争戦費調達のために日本の外為特会が使われていたことが分かります。