岩村充『国家・企業・通貨』
評者は「お金のしくみ」を理解する参考書とは何がいいかと聞かれることが多いです。この本はお勧めしたい本の中でも突出してお勧めしたい本です。
日本のような対外純資産国は、貿易黒字を積み上げて今日の国際的な地位を得ています。しかし、純粋に国内経済面を考えると、貿易黒字=資本流出なのであまりいいことではありません。
逆に言えば、途上国が経済成長するには、先進国から資本を流入してもらえるような条件が必要です。
岩村氏は「資本が移動するためには、統治力ある国家、資金提供者を安心させる企業制度、さらに金融市場での資金循環を支える通貨制度の整備が不可欠でしょう。」(本書『国家・企業・通貨』p.90)と述べています。
本書は、近代資本主義の基本的3要素である
・国民国家
・株式会社
・通貨
の3者とそれらの関係を記した本です。
「お金のしくみ」について基本的な知識を得たい人は、ぜひご覧ください。