無垢材で造る家と集成材で造る家

(2009年3月21日掲載)


今、私は、民主党「次の内閣」厚生労働部門の副担当(副責任者)をしながら、民主党「次の内閣」国土交通部門・住宅小委員会の事務局長代理をしています。今年の経済の重大テーマは、内需の拡大、雇用の拡大であり、その鍵を握っているのが、裾野の広い住宅分野だからです。


そのため、地元を回るときにも、地元の工務店に飛び込んで意見交換をさせていただくことがあります。

今日(2009年3月20日)は、県産材(吉野郡十津川村産材)を使っている工務店に行ってきました。(県産材ということなので、当然、無垢材を使って家を作っていらっしゃいます。)郡山にある「スペースマイン」という工務店です。
http://www.spacemine.co.jp/

社長の矢島美和子さんと常務の瀬戸光好さんと長い時間、話をさせていただきました。お二人には、あらためて「新住協」への勧誘をさせていただきました。
http://www.shinjukyo.gr.jp/


◇ 無垢材と集成材

「無垢材」(むくざい)とは、その名の通り、木をそのまま丸ごと使うという木材です。日本の古くからの歴史的建築物は、全て無垢材で作られています。

これに対して、「集成材」(しゅうせいざい)という木材があります。これは、木を細く薄く切ったものを、接着剤で貼り合わせて作った木材です。メリットとしては、強度が計算できるので構造計算がしやすく、施工に手間もかからないので安い家が可能になります。

集成材のデメリットとしては、木材としての歴史が浅いので、構造計算上は「強い」と評価されていても、経年劣化で接着面がどのようになるかについて、現時点では分からないという点があります。

また、アレルギー体質の子どもや大人が増えてきている現在の日本では、接着剤に使われてる物質が健康にどのような影響を与えるのか、影響には個人差もあり、なかなか評価しづらいという点もあります。


大きく分けると、

無垢材の家:坪当たりの単価は高くなるが、自然素材の家にこだわる人向け。

集成材の家:坪当たりの単価は安くなるし、強度も計算しやすいので買いやすい。ただ、計算できない部分については評価が不明なことについてこだわらない人向け。

と言えるでしょうか。


私がどのような家に住んでいるのか、住みたいかということは別にして、このような特性に応じて、無垢材の家が良いのか、集成材の家が良いのか、単純には優劣をつけにくいので、消費者は御自身でお選びになったら良いものだと思っています。


◇ 断熱材の特性

ということで、無垢材というのは、自然素材にこだわる人向けの素材なのですが、私が不思議に思っているのは、無垢材を使いながら、断熱材は石油系や化学物質を使う断熱材を使っている工務店があることです。スペースマインさんとも、この点について意見交換をしました。


よく使われている断熱素材については、大きく分けて
1.石油発泡系(発泡ポリスチレン、吹付け発泡剤など)
2.セルローズファイバー(新聞紙を綿状にしたものにホウ酸を添加)
3.不燃繊維系(グラスウール・ロックウールなど)
があります。

研究していくと、それぞれメリットとデメリットがあることが分かって参りました。それと同時に、専門家であるはずの工務店でも、必ずしも、それぞれの特性を理解して施工をなさっているわけではなく、いずれかの工法に特化されてご商売をなさっているケースが多いということも分かって参りました。

特に、安くて一番使われているのは、グラスウールをはじめとする不燃繊維系なのですが、グラスウールについては、素材の問題というよりも、工法について不十分な知識しか広まっていないので、施工に問題があるケースが見られます。

そして、問題をさらに複雑にしているのは、それぞれの断熱材メーカーが反目し合い、断熱市場を広げていっていない現状です。


石油発泡系のメリットは、同じ厚さ当たりの断熱性能が出やすいという点です。逆にデメリットとしては、発泡スチロールの板状のものは、木材との隙間が出来てしまい、気密性に問題が出てくる可能性があるという点、石油系特有の問題として、火災の時に一酸化炭素中毒で亡くなるリスクがある点、火災で高温になったときに難燃加工がそのまま維持されるのか不明である点があります。


セルローズファイバーのメリットは、壁への充填を行うので隙間が生じにくい点、原料が新聞紙なので吸湿性がある点です。デメリットは、ホウ酸を大量に含んでいるので、住んでいる人の健康にどのような影響があるのか現時点では分からない点、ホウ酸の添加により難燃性になっているといわれる反面、石油系と同様に火災で高温になったときに難燃加工がそのまま維持されるのか不明である点があります。また、原料の新聞紙に含まれるインクにより、独特のにおいがあり、アレルギー体質の方には影響があるのかどうか個人差がある点も上げられます。


グラスウールやロックウールという不燃繊維系のメリットは、不燃である点です。加えて、グラスウールは安いです。デメリットは、施工者に知識がない場合には、「気流止め」という水蒸気の浸入を食い止める部材を入れない場合があります。そのときには断熱材の内部に水蒸気が入り、結露を起こし、木材が腐ってしまうというリスクがある点です。

この「気流止め」の技法は、新住協の代表理事である、室蘭工業大学の鎌田紀彦教授が20年前に開発し、北海道や東北では標準的な工法として普及されてきました。しかし、例えば、私の地元の関西では、グラスウールメーカーの営業は、ユーザーである工務店に対してきちんとした工法を伝えずに、「グラスウールは内部結露を起こす」という悪評を定着させることになってしまったのです。

そして、このグラスウールメーカーの営業体質は、今日まで変わっていません。その証拠に、私が工務店にヒアリングをしたところ、グラスウールを使う場合に「気流止め」が必要であることをご存じであったところは、ほとんどありません。

グラスウールは、安く、不燃であるために、いわば「勝手に売れる商品」だということで、メーカーの営業努力がそこまで行き渡っていないのでしょう。


しかし、消費者の側で物事を考えると、そのままの状態を放っておく訳には参りません。私が、新住協にこだわっているのは、「新住協は、特定の営利団体からは独立した開かれた民間の技術開発団体です。これまで、全国の工務店設計事務所、建材メーカー、建材販売店、大学や公共の研究機関が参加し、住まいづくりの実践現場と研究機関とが係わり、生きた情報を交換し合うことで、革命的な住宅技術を開発してきました。そして、その技術を独り占めすることなく、お互いにわかちあうことで、より安価で高品質な汎用技術へと育ててきました。 」という団体だからです。

断熱素材についても、特定の断熱素材が良いということをいうのではなく、比較・検証をして、そのメリット・デメリットを共有しているということなのです。


◇ 組み合わせは6通り

そうすると、組み合わせは、
(無垢材 or 集成材)×(セルローズファイバー or 石油系 or 不燃繊維系)
の2×3=6通りになります。

今日は、記述時間の都合でここまでにします。
6通りそれぞれについての私の評価は、読者の皆様の希望があれば、後日に書かせていただきたいと思います。



参議院議員 中村てつじ
メルマガ「国会からの手紙」
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