政治は未来の世代のために

(以下の原稿は、今月配布するプレス民主号外の原稿です。)


◇ ダブルワークの若者

先日、20代の若者が集まる場所に呼ばれました。生活するために、昼はレンタルビデオ店、夜は居酒屋と、ダブルワークをしている人もいました。元々は正社員だったけれど、サービス残業も多く、生活できないくらいに給料が少なすぎた。だから、辞めてフリーターになり、ダブルワークをして、何とか食べているという話でした。


私は、いわゆる「団塊の世代ジュニア」の世代です(1971年〜1974年生まれ)。そこから下の世代は、常に上の世代の方が多い。ポストもなかなか空かない。上の方が層として詰まっていて、構造的に若者は未来に希望を持ちづらいという状況におかれています。

このように私が書くと、「若者を甘やかしすぎる」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。しかし、「情報通信革命」による世界経済の変化を見ると、今の20代の世代が直面している状況は、「大人の世代」が経験したことのない過酷なものです。


例えば、私たちが着ているスーツ。かつては、「舶来品」と言われたぐらい、外国産のスーツは、高級品でした。その時代、スーツを作る仕事は国内にありました。しかし、今では国産のスーツこそ高級品。逆に、私も着ている「つるし」のスーツは、ほぼ例外なく、途上国で作られた輸入品となりました。

つまり、世界経済の変化により、親の世代の仕事がどんどん途上国に流れ、子どもは親の仕事も継げなくなってきている。これが、若者が直面している状況です。



◇ 政治は「人への投資」へ舵を切れ

そのような世界経済の変化に、政治は対応してきたでしょうか。私や民主党は、「コンクリートへの投資から、人への投資へ」と、結党以来10年間、世界の変化に対応するように政策転換を提案してきました。

現在、国会では、平成21年度補正予算の審議をしています。今語るべき争点は、「政治は未来の世代のために」という視点です。若者の仕事なくして、お年寄りの安心のしくみも成り立ちません。


私たち民主党は、「チルドレン・ファースト」。月額2万6000円の「子ども手当」を中学校卒業まで支給すべきと主張しています。子育てを全て家庭に任せてしまうのではなく、社会全体で支えていこうという考え方です。この点、政府は、今回の補正予算で一度限り、3万6000円で争点を消そうとしています。

また、恒久的に若者の仕事を増やすという姿勢は、今の政府からは見えてきません。確かに、「成長戦略」による競争の促進も必要ですが、全ての人が高度で生産性の高い仕事に就けるわけでもありません。一方で、人が人を支え、社会に安心をもたらすような仕事も必要です。福祉や医療という現場で、若者が食べていけるような給料を払えるしくみを作るのは、政治の役割であるはずです。


衆議院議員の任期も、残り4ヶ月を切り、いつ総選挙が行われるか分からない状況になってきました。不況の今だからこそ、未来を見据えた政策転換が必要だということを国会の論戦で浮き彫りにして参ります。


参議院議員 中村てつじ
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